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【インサイト】世界的「こんまり」ブームが示すGDP25%の潜在力

Marie Kondo Photo illustration: 731. Photo: Seth Wenig/AP Photo; Getty Images
Marie Kondo Photo illustration: 731. Photo: Seth Wenig/AP Photo; Getty Images
Marie Kondo Photo illustration: 731. Photo: Seth Wenig/AP Photo; Getty Images

ときめく片付けクイーン「こんまり」こと近藤麻理恵氏の世界的な成功は、日本経済の重要な真実を浮き彫りにしている。女性の就労は進みつつあるが、そこにはまだ活用されていない大きな潜在的価値があるという事実だ。

  内閣府の試算では、2016年の家事活動は最大138兆5000億円と、国内総生産(GDP)の25.7%に相当する。女性の就労が増え、より多くの家事活動がマネタイズされれば、勢いに欠ける成長率押し上げというプラス効果も期待できるかもしれない。

世界は「こんまり」を発見

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  近藤氏は今年1月に始まった米ネットフリックスの番組「TIDYING UP WITH MARIE KONDO」の成功で世界的なメディアの波に乗っている。11年に出版された「人生がときめく片づけの魔法」は日本でミリオンセラーとなったが、14年に活動の舞台を米国に移した。

  それ以降、近藤氏の英語でのウェブ検索数は日本語を徐々に上回り、年初に一気に急増した。「こんまり」の家事・片付け手法のマネタイズという観点では、米国に一日の長があったといえる。それが日本の経済成長の下支えの鍵となる。

女性にのしかかる家事の重い負担

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  日本の家事分担の偏りは周知の事実だ。総務省の「社会生活基本調査(16年)」によると、女性の負担ははるかに大きく、家事活動には男性の7倍以上の時間(週当たり男性19分、女性2時間24分)を費やしている。家事を経済活動としてみれば、女性は家事活動の価値の合計は男性の約4倍だ。

  家事活動の貨幣評価額は賃金に家事時間を乗じて算出される。時間と価値のギャップは男女の賃金格差によるものだ。

女性の労働力率はまだ上昇の余地

  安倍晋三首相は、女性活躍を推進してきた。女性の労働力率は、12年12月の47.8%から18年12月の52.3%に上昇した。さらに引き上げるには、以下の3点に加えて多くの分野で大幅な政策変更が必要になるだろう。

  • 家事サポートサービス関連ビジネスでの外国人労働者雇用の寛大な措置
  • より身近で安価な保育サービス
  • 家事サポートを外部に求める抵抗感や休みを取りにくい環境を変える

  これらの基本的な課題に対処し、より多くの女性が無理なく就労できれば、経済成長にとって明らかにプラスだ。家事サポートのビジネスが拡大すれば、無給の家事労働であるGDPの25.7%の一部がマネタイズされる。

  ほとんどの家事サービスに従事する労働者は、「こんまり」メソッドで人気が沸騰した近藤氏ほどの収入増は望めないかもしれない。しかし、マクロ経済の観点からは、有給の家事労働が増える影響は大きい。

  マネタイズや経済成長が全てではないという考え方もある。ただ、少なくとも女性の負担と社会的損失をより「見える化」する試みは継続的に必要だろう。

日本の家事活動をマネタイズする

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  日本は家事労働をマネタイズする方向に徐々に向かっている 。内閣府のデータによると、家事活動の経済的価値は引き続き増加しているが、それ以上のペースで名目GDPは拡大している。家庭内で行われているため公式データには取り込まれていなかった作業が、より生産性の高い分野にシフトした可能性を示している。

  • 16年の家事活動の貨幣評価額は、11年の134.0兆円(名目GDP比27.3%)に対し、138.5兆円(同25.7%)だ
  • その間、家事に費やされた時間は917.8億時間から902.1億時間に減少した
  • 女性の労働力率が上昇していることと合わせて考えれば、家庭での女性の無給労働の一部は家事労働サービスに委託されている可能性が高い
  • これは機会費用の推計に基づいており、家事をした時間を平均的な賃金で報酬を得た時間に置き換えて得られる収入を算出している

一方で、家事活動の貨幣評価額は手法によって異なることには留意する必要がある。

  • 上記の内閣府の機会費用法では、もし家事をしなければ、性別や年齢に基づいた平均賃金を稼ぐことができると仮定している
  • 代わりに、同等のサービスを提供している専門家に支払われる賃金を稼ぐと仮定すると、16年の家事活動の推計額は106.8兆円になる
  • 一般的な家事全般の補助者の賃金が支払われることを前提にすると、推計額は98.3兆円になる
  • 推計結果に幅はあるが、いずれも非常に大きく、過去の価値変化のトレンドは同様の傾向を示している

  英語の原文をご覧になるにはこちら 
  JAPAN INSIGHT: What Marie Kondo Shows About Untapped Potential

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