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Photographer: Jock Fistick/Bloomberg

メイ英首相に歴史の教訓、EU相手の瀬戸際作戦は負け戦につながる

European Union (EU) flags fly outside the the European Commission headquarters, in Brussels, Belgium, on Monday, Dec. 19, 2011. European finance ministers will today seek to meet a self-imposed deadline for drawing additional aid to the debt crisis and to form new budget rules as investor confidence that a comprehensive solution is achievable wanes.
Photographer: Jock Fistick/Bloomberg

歴史が繰り返されるのであれば、欧州連合(EU)離脱交渉を期限切れ瀬戸際に持ち込もうとするメイ英首相の戦術は、うまく行かない公算が大きい。

  過去数十年間にわたり、土壇場でEUから譲歩を引き出そうとした首脳や政府は屈服するか、ごくわずかな譲歩しか得られなかった。EUは顧問や外交官、閣僚らによる長い準備作業の末に、加盟国首脳が全会一致で決定して初めて行動に移るため、いったん決断が下されて立場が固まれば、一夜にしてそれを覆すのがほぼ不可能だからだ。

  これは英国のEU離脱交渉でも同じだろう。メイ首相は歴史から教訓を学ぶべきだ。すなわち敗北に備え、過剰な期待は抑え、フランスにもっと注意を払うということだ。以下が最近の事例だ。

2015年7月:ギリシャの降伏

  • 緊縮政策からの脱却と公的債務の「大幅なヘアカット(減免)」を交渉すると公約し、政権の座に就いたギリシャのチプラス首相は、6カ月にわたる交渉引き延ばし策の後にブリュッセルでイチかバチかの首脳会議に臨んだ。同首相は国民の強い信任を背にユーロ圏の金融支援条件の拒否も辞さない姿勢だったが、EUは一歩も引かず、約17時間の交渉の末にチプラス首相は年金削減や民営化を含む数多くの屈辱的な緊縮経済政策に署名した
European Leaders And Finance Ministers Attend Emergency Greek Summit

ギリシャのチプラス首相(左、2015年7月)

写真家:Jasper Juinen

2013年3月:キプロス銀行危機

  • 2012年のギリシャ債務再編とリセッション(景気後退)、不動産価格の下落で、キプロスの銀行業界では複数行の事業モデルが持続不可能に陥った。キプロス政府に対し、EU側はこれらの銀行の預金を全て救済するのは不可能だと通告。ブリュッセルでの徹夜の協議でキプロスのアナスタシアディス大統領は、EUが要求する預金課税を受け入れることはできないと突っぱねたが、欧州中央銀行(ECB)のアスムセン理事(当時)は「それならキプロス中銀に電話して銀行を閉鎖させる」と応酬。キプロス政府は最終的に受け入れを余儀なくされた
Euro Finance Chiefs Agree to Cyprus Deal Paving Way for Bailout

キプロスのサリス財務相(2013年3月当時、ブリュッセル)

写真家:Jock Fistick

2011年12月:英国の反乱

  • 世界的な金融危機で苦境に立たされたEUは、ユーロを守るため歳出規則を厳格化する緊急協定を結ぼうとした。当時のキャメロン英首相は、同国の金融サービス業界を保護する譲歩をこれに盛り込むよう要求。それが得られなかった同首相は、午前2時半に協定の全面拒否という行動に出たが、EUは英国抜きで協定を締結し、英国は試合には勝ったが勝負には負けた形となった
Britain Prime Minister David Cameron arr

当時のキャメロン英首相(2011年12月、ブリュッセル)

写真家:Eric Feferberg / AFP

原題:In Warning to May, EU History Shows Late Summits Don’t End Well(抜粋)



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