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仮想資産市場、次に熱くなるのは「証券トークン公開」-QuickTake

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  • 新規仮想通貨公開(ICO)はすでに下火-SECが登録必要と判断
  • STOのマーケティングは適格投資家、すなわち富裕層だけが対象
Cryptocurrency mining rigs operate in a cargo container at the Golden Fleece cryptocurrency mining company in Kutaisi, Georgia. Bloomberg Bloomberg Bloomberg
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新しいデジタル通貨を導入するスタートアップ企業が新規仮想通貨公開(ICO)を通じて過去最大規模の資金を集めたのは、つい昨年のことだ。だが米証券取引委員会(SEC)が大半の仮想通貨は事実上の証券でSECへの登録が必要だと判断。ルールを厳格に執行し、ブームは勢いを失った。今は多くのスタートアップ企業がこれまでと異なるアプローチを採用し、「証券トークン」を用いることでルールに従っていると主張している。富裕層だけを対象にマーケティングが行われている「証券トークン公開(STO)」は、仮想資産を巡る次のホットなテーマだ。

1. ICOはどうなった?

  仮想通貨市場を追跡しているコインスケジュール・ドットコムによれば、ICOを通じ2018年に集まった資金は210億ドル(約2兆3200億円)以上。だがICOに参加した多くの投資家が損失を被った。ICOの月次投資額は18年6月がピークで58億ドル。12月にはその1割程度に落ち込んだ。多くの仮想通貨が90%ほど値を下げたためだ。

2. 市場の外で何が起きていたか?

  監督当局が追い付きつつあった。特にSECは多くの仮想通貨発行体にSEC登録を義務付ける内容の和解合意をまとめた。ICOを推進してきた企業は仮想通貨は自社で提供するサービスで使われる「トークン」にすぎず、証券ではないと考えていた。だがSECは検証したほぼ全ての仮想通貨について、発行体のネットワーク運営に必要なものというよりも、投資家が手っ取り早く稼ぐために買い入れる証券だと判断した。

3. 証券トークンって何?

  ビットコインなどの仮想通貨に近いが、証券トークンは会社の株式や不動産、債券などの実際の資産に連動しているとして販売促進されることが多く、証券トークンの保有者は配当も受け取れる。証券トークンは「デジタル証券」と呼ばれることもある。

Security Tokens Catch On

Number of offerings; 2019 figure is projection

Source: Autonomous Research

4. 何が違うのか?

  証券トークンの発行体が、証券法の対象であると認識していることは重要だ。こうした発行体は証券法の規定内でSTOを進める。適格投資家に限定的な発行を認めている1933年の米証券法に盛り込まれた条項に基づき作業する。適格投資家とはすなわち富裕層だ。オートノマス・リサーチによると、17年のSTOは2件だったが、昨年は25件に増えた。19年は87件になると予想されている。

5. スタートアップ各社はなぜこの方向に進むのか?

  適格投資家だけへの提供に限定することで、STOは一般的な投資家の保護を目的とするより厳しいSECルールを回避することができる。 企業の新規株式公開(IPO)に適用される経費のかかる登録要件を回避しようとするだけではなく、ICOを巡る当局の厳しい検証と法的な不確実性を避けたい思惑もありそうだ。

6. どんな企業がSTOをするのか?

  スポーツチームとファンの交流を容易にするサービスを提供しているスポーツ・レッジャーは昨年11月、ICOではなく「規制を完全に順守し、将来性のある資金調達法」であるSTOを実施すると発表。バイオテクノロジーのアジェナスは最大1億ドルの証券トークンの発行を計画していることを明らかにした。株主資本への影響を抑えるとともに、単一製品の将来的な売り上げに投資家が賭けることが可能になるとしている。

7. STOに対する投資家の警戒は必要か?

  恐らくそうだ。新たな分野への投資はリスクを伴う。多くのアナリストが懸念しているのは、投資家が貧乏くじを引いてしまうことだ。「誰も買わない売れ残ったジャンク債」のようになってしまうSTOも中にはあり得るとオートノマス・リサーチはみている。

8. 証券トークンはどこで買えるのか?

  買える場所はまだ多くはない。当局による厳しい検証に対する懸念から、実績のある仮想通貨交換事業者の大半は証券トークンを扱っていない。テンプラムやポリマス、tゼロといった新しい交換業者の一部はすでに始動し、一部は準備を進める。スパイスVCの独自事業は「セキュリタイズ」と呼ばれるプラットフォームで、ロッテリー・ドットコムなどの幾つかスタートアップ企業を支援。これまでに計1億3000万ドルを集めている。tゼロは1月下旬、同社の証券トークン流通取引のためのプラットフォームを導入した。

原題:Why Security Tokens Are Crypto for the Already Rich: QuickTake(抜粋)

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