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昨年の実質賃金2年ぶり微増、野党試算ベースはマイナス-勤労統計

更新日時
  • 名目賃金は5年連続プラス、共通事業所系列の実質賃金公表されず
  • 12月名目賃金は1.8%増と17カ月連続プラス、市場予想を上回る
General Images Of Japanese Yen Notes As Economists Ditch Forcasts That Bank Of Japan Is To Further Expand Its Record Easing

Photographer: Akio Kon/ Bloomberg

General Images Of Japanese Yen Notes As Economists Ditch Forcasts That Bank Of Japan Is To Further Expand Its Record Easing

Photographer: Akio Kon/ Bloomberg

厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計で、消費者物価の上昇の影響を除く2018年の実質賃金は前年比0.2%増と2年ぶりに増加した。12月は1.4%増。野党が厚労省による不正調査を受けて求めている実質賃金の共通事業所系列の「参考値」は公表されなかった。

  名目賃金である現金給与総額は12月に前年同月比1.8%増と17カ月連続で増え、市場予想の1.7%増を上回った。このうち定期給与は0.8%増、特別給与2.7%増。18年通年では前年比1.4%増と5年連続プラスとなった。これらは全て厚労省が不正調査問題を踏まえて1月に公表した再集計値ベース。

現金給与総額2018年12月2018年通年
実質賃金  1.4%増  0.2%増
名目賃金  1.8%増  1.4%増

  厚労省が公表した調査対象の一部入れ替えの影響を除いた共通事業所系列の名目賃金の参考値に基づき、野党は昨年1-11月の実質賃金の伸びが9カ月でマイナス、平均で0.5%のマイナスと独自に試算。政府が賃金上昇をより高く見せる「アベノミクス擬装」を行ったと批判している。同様に試算すると、18年通年の実質賃金は0.5%減となる。

  根本匠厚労相は5日、野党試算のような機械的な計算では実質賃金の伸びがマイナスになると国会で答弁した。8日には共通事業所系列の実質賃金を公表しなかった理由について、経年変化をみるのが実質化の意味で、翌年は別の共通事業所となる数値が指数化になじむかという問題に加え、作成開始が12月でまだ蓄積がないことを説明。「統計的観点からの専門的な知見をいただきながら、このような実質賃金指数を統計して出すことが適当かどうかよく検討していきたい」と述べた。

18年実質賃金、公表値と試算値のギャップ拡大

厚労省公表は+0.2% 機械的計算で平均 -0.5%

出所:厚生労働省のデータを元に、名目賃金(共通事業所系列の参考値)から消費者物価指数を差し引いて機械的に算出

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の戸内修自シニアマーケットエコノミストは、実質賃金の伸びの低迷について、エネルギーや生鮮食品の価格上昇による物価上昇を理由に挙げ、「賃金上昇から物価上昇にという経済の好循環が回っている部分が限定的だったので、海外や天候要因で物価が上がってしまうと、それに賃金上昇が追いつかず、実質賃金が落ちてしまうことが起こりやすい」と指摘する。

不正発覚後の再集計、名目賃金の伸び率抑制

出所:厚生労働省

  総務省が同日発表した家計調査では、18年の消費支出(2人以上の世帯)は実質ベースで前年比0.4%減と5年連続のマイナスとなった。食料品や衣類、娯楽なども5年連続のマイナス。12月単月では前年同月比0.1%増と4カ月ぶりのプラスに転じたものの、市場予想の0.8%増を大幅に下回った。

エコノミストの見方

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト

  • ヘッドラインの数字が示唆するほど賃金動向は強くはない可能性がある。
  • 賞与によって押し上げられているが、それは企業が恒常的なコスト上昇を避けるためベアの引き上げを避けている裏返しでもある、そうなると基調的な物価圧力はなかなか上がらない
  • 家計は引き続き消費には慎重。12月はボーナスが増えている中で消費が増えていない。消費はなかなか加速しないものの、景気は緩やかながらも回復を続けるとみてよい。景気後退はないと思う

みずほ証券の宮川憲央シニアエコノミスト:

  • 毎月勤労統計の正確性はどうかという問題はまだある。ただ賃金の伸び自体はそんなに強くない。企業部門も慎重。春闘もそんなに強いベアではないだろう。労働市場は良く、賃金も曲がりなりには増えているが、それに見合っているほど増えているかというとそうでもない
  • 個人消費は緩やかに増えているとは思うが、家計の慎重姿勢がやはり強い。将来的な賃金の持続性、特に基本給のところが増えるのかという問題があるだろうし、社会保障の問題もあって積極的になれない
  • 1-3月期のGDPはプラスは維持されているだろうが、期初予想に比べ弱い。年率換算で1%行くか行かないかくらい
(家計調査の結果を追加し、コメントを差し替えて更新します.)
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