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デサントが反対表明、伊藤忠による敵対的TOBに-企業価値毀損

更新日時
  • 強圧的な手法で実質的な支配権の取得-伊藤忠の利益が優先される
  • 伊藤忠との利益相反に対するけん制機能が働かなくなる

筆頭株主の伊藤忠商事が計画しているデサント株式の公開買い付け(TOB)は、デサントが7日反対意見を表明したことで敵対的TOBに発展した。同社は、伊藤忠によるTOBは企業価値を毀損(きそん)し株主全体の利益を侵害するとしている。

  デサントは発表資料で、伊藤忠は「形式的にプレミアムを付した」買い付け価格を設定しているが、実態は「強圧的な手法により最小限の資金で実質的に当社の支配権を取得」するもので、伊藤忠の利益が優先され、デサントの利益が害される可能性が高いと主張した。

  ジェフリーズ証券のズヘール・カーン調査部長は、日本の株主はこれまで株主として同意できない状況でも目立つことを避け、権利を表だって行使することは滅多になかったとした上で、最近では状況が変わり、株主が自らの意見を表明し経営陣に対して説明責任を求めるようになってきていると指摘する。

  今回のケースでは伊藤忠は50%のプレミアムを付けており、株主の9.6%から株を集めれば良いだけなので、デサントがそれを阻むのは困難かもしれないという。伊藤忠が最終的にデサントの現経営陣をどうするかが大きなポイントで、それによってTOBがデサントのガバナンスにとっていい決断だったかどうかが決まるだろうと述べた。

  伊藤忠は1月31日、デサント株のTOB開始を公表。約200億円を投じて出資比率を30.44%から40%に引き上げ、拒否権を得られる3分の1以上に引き上げることを目指すとしていた。買い付け期間は3月14日までで買い取り価格は30日の株価終値に約50%上乗せした1株2800円と計画。
  

デサントの主張の要旨
  • 現経営陣による実績は高く評価されている
  • TOB成立後は伊藤忠の利益を優先した経営となり、デサントの企業価値が毀損
  • ガバナンス体制の改革が阻害される
  • 伊藤忠との利益相反に対するけん制が働かなくなる
  • 多様なルートからの調達が困難になる
  • 伊藤忠が示す経営上の施策は、すでに実施しているか効果が不透明な施策
  • 社外役員も反対意見の表明を支持

  伊藤忠の鉢村剛最高財務責任者(CFO)は5日の決算会見で、デサントについてガバナンスが欠如しているなどと経営体制を批判。鉢村CFOは、デサントに対して株主への説明責任を果たすよう再三求めてきたが、「いただいているお答えは抽象的で具体性に欠けていた」と指摘。デサントからの意見が表明され次第、伊藤忠からも意見を出すと話した。

国内での過去の敵対的TOB事例   

発表日対象企業買い手企業
2000年1月23日ヒューリックM&Aコンサルティング
04年8月24日UFJホールディングス三井住友FG
05年7月11日日本技術開発夢真ホールディングス
05年11月21日新日本無線MACアセットマネジメント
06年1月16日オリジン東秀パンパシHD
06年7月23日北越コーポレーション王子ホールディングス
07年10月31日日本アジアグループ(旧)日本アジアホールディングズ
07年10月31日 カーチスホールディングスケン・エンタープライズ
08年2月18日 日本ハウズイング原弘産
12年11月15日アコーディア・ゴルフPGMホールディングス
出典:ブルームバーグ
(アナリストのコメントを追加して記事を更新します.)
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