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【コラム】華為禁止迫る米国に欧州は冷ややか

  • 独政府が求めるは禁止ではなく検査の強化のみに
  • 5G展開という点で、ドイツと米国はライバル同士
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米国のソンドランド駐欧州連合(EU)大使は華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)など中国メーカーの通信機器を欧州各国のネットワークで使用することを禁止するよう促した。1月末のブリュッセルでの会議で、「価格や品質についての決定ではない。悪役にあなたの国の通信システムをコントロールさせることを許すかどうかの決定だ」と迫った。

  だがドイツが同大使の助言を受け入れる公算は小さい。そして他のEU諸国は恐らく、欧州最大の通信機器市場が示すだろう先例に従うことになる。

  ドイツ最大の経済紙ハンデルスブラットによれば、独政府当局者はトップクラスの通信会社との最近の会合で、通信機器の検査要件強化を決めた。当局側は非公式に、中核の通信網に華為などの中国製品を使うのは望ましくないと伝えたという。だが政府が求めるのは直接的な禁止ではなく、検査の厳格化のみとなる。

  この問題では通信業界が政府に対してロビー活動を展開しているのだ。第5世代(5G)テクノロジーの展開で華為と長期的な提携を結んでいるドイツテレコムは、華為製品を新世代通信網で使用禁止にすれば、ドイツの5G開始が遅れ、米中に後れを取る可能性があると警告。経済のデジタル化を政策の優先課題にすると誓うドイツ政府にとっては悲痛な展望だ。

  検査の厳格化というのはつじつま合わせだ。ノルウェーのセキュリティー専門家オラブ・リスネ氏は華為とエドワード・スノーデン米中央情報局(CIA)元職員の問題を論じた2018年の著書で、通信機器に仕込まれ得る「バックドア」の存在を排除することは実行不可能で、メーカー側も製品にバッグドアがないと明瞭に立証することはできず、結局は常に信頼性の問題になるとしている。

  米国からの12年以降の数々の警告にもかかわらず、中国製品のバックドアの助けを借りたスパイ活動を理由に中国の情報当局者が逮捕されたケースはなく、これが世界の通信機器市場で28%と最大のシェアを握る華為から製品を購入する最大の理由ともなっている。

  バックドア疑惑を華為が否定し続ける中で、中国の法律は自国企業に情報収集活動への協力を義務付けていると、同社排除を欧州に求めるソンドランド大使や米政府当局者らは言う。だがこの種の法律は米国にもある。1994年の通信傍受支援法(CALEA)は通信会社とメーカーに連邦機関が通信データにアクセスできるようにすることを求めており、米国製の通信機器をスパイ活動のために米国家安全保障局(NSA)が使っていたことをスノーデンCIA元職員が暴露した。

  米中貿易戦争のさなかに華為を攻撃する米国の動機を巡り、ドイツ国内には冷ややかな見方もある。5G展開という点で、ドイツと米国はライバル同士だ。ドイツで広がりつつあるように見えるアプローチは、脅威を認識するとともに検査を強化し、通信機器メーカー1社に全面的に主要な通信網を依存しないことを確実にし、それでいて全面的な禁止は控え、メーカー間の競争を維持することで通信会社側がコスト管理をよりうまくできるよう市場はオープンな状態を維持するというものだ。

  中国によるスパイ活動の危険性はある。だがモバイルテクノロジーの展開を推し進める欧州の必要性がその恐れを凌駕(りょうが)している。

  (レオニード・ベルシドスキー氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。ロシアの経済日刊紙ベドモスチの創業エディターで、オピニオンサイト「Slon.ru.」の創業者です。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:A Huawei Ban Makes Little Sense for Europe: Leonid Bershidsky(抜粋)

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