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【コラム】債券王の転落、投資家が得るべき教訓は-チャパッタ

ビル・グロース氏の命運は尽きようとしているのか、という問いかけを真剣に考えてみようと6カ月前に思ったが、その必要はなくなった。かつてパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)で「債券王」として君臨した同氏は4日、現役引退を明らかにした。債券市場で他を出し抜ける知恵があると考える投資家は、同氏から教訓を得るべきだ。

  グロース氏が抱えた問題は、ジャナスでは抑制を効かせなさ過ぎたということだ。運用資産は約22億ドルがピークで、PIMCO時代の3000億ドル近い水準からはあまりにも見劣りがする。当時これだけの巨額を任されていたということは、グロース氏自身が市場そのものだったということを意味する。だからこそトレーダーは皆、同氏の一言一句に注目した。世界最大の投資信託であることの制約も、投資戦略でのブレーキ役を担っていた。

Go With the Outflow

Bill Gross's unconstrained fund kept losing money as performance languished

Source: Bloomberg

  ジャナスでのグロース氏は、ヘッジファンドのような俊敏さで運用した。米独の10年債利回りが接近するという見通しに大きく賭け、見事に外れた。その賭けは、債券の弱気相場は「比較的穏やか」とした自らの公言とも矛盾した。同氏は最近では、エクスプレス・スクリプツ・ホールディング株をロングに、シグナをショートとする「合併アービトラージ」戦略を用いたようだった。

  この実験はグロース氏にとっても、同氏に資金を託した投資家にとっても裏目に出た。同氏の引退を発表したジャナスのリリースによると、同氏のアンコンストレインド戦略は「2014年秋のジャナス入社以降、3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を下回る成績だった」。

  グロース氏自身もこの点について、誤算を認めており、「トータルリターン戦略を堅持し、もう少し抑制するべきだった」とブルームバーグテレビジョンで語った。

  グロース氏はトータルリターン投資という概念について、「慎重なリスクテークが基本」だと説明。自らの助言に従わなかったことが、同氏の転落を招いた。インタビューの間、同氏はドイツ国債対米国債の取引をカードゲームのブラックジャックとの比較で表現し、テーブルにチップを置き過ぎたと話した。実際にグロース氏はラスベガスで、ブラックジャックで200ドルの元手を4カ月で1万ドルに増やし、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経営大学院の学費を稼いだことがある。

  しかしファンドマネジャーがガイドラインや基準などに縛られず、「何に投資してもよい」状況では、こうした伝説で語られる神秘性も薄れよう。グロース氏はこれを身をもって学んだ。同氏個人の資金の多くが投資されていたからだ。アンコンストレインド戦略で運用、もしくはそうした戦略に投資する場合は、誰でも自分でリスクを抱えるべきだ。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、当社オーナーの意見を反映するものではありません)
原題:Bill Gross Is a Cautionary Tale for Bond Kings: Brian Chappatta(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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