ソニー株が3年超ぶり下落率、画像センサー減速で下方修正
古川有希-
終値は同8.1%安の5055円と15年9月29日以来の下落率
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半導体事業の見通しを減額、スマートフォン市場の悪化を踏まえる

ソニー株が大幅反落。1日発表の決算では、主力の画像センサーの減速などを理由に今期(2019年3月期)の連結売上高計画を下方修正した。
4日のソニーの株価は売り気配で始まり、一時前営業日比8.9%安の5011円まで下落。終値は同8.1%安の5055円と15年9月29日以来の下落率となった。
SMBC日興証券の桂竜輔アナリストはリポートで、2018年10ー12月期にモバイルや金融、半導体などが減益となったのは「想定以上のモメンタム減」だと指摘。マッコーリーキャピタル証券のアナリスト、ダミアン・トン氏はリスクの高まりなどを理由に、投資判断を「アウトパフォーム」から「中立」に引き下げた。野村証券やゴールドマン・サックス証券は目標株価を引き下げた。
業績予想 |
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1日の発表によると、営業利益計画については変更はない。今期の純利益計画は米国での繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩し、法人税の減額を計上したため、上方修正された。年間配当予想は前期実績から7円50銭増やし、1株当たり35円と前期に引き続き増配する。
半導体の売上高と営業利益見通しは10月時点から減額された。モバイル機器向けや工場自動化、監視カメラ向けの画像センサーの販売数量見込みの下方修正が要因。米中貿易摩擦が長期化し、米アップルのiPhone(アイフォーン)の販売が低迷するなどリスク要因が浮上していた。
会見した十時裕樹最高財務責任者(CFO)は、「下方修正はスマートフォン市場の環境悪化を踏まえた」とした上で、高品質の画像センサーの需要が伸びるという見方や生産能力を最大化する方向性に変更はないと述べた。ただし、設備投資の時期については「今後の需要動向を見極めながら柔軟に見直す」としている。

ソニーは売上高計画を下方修正
主なセグメント別業績見通しの修正
2月時点見通し | 10月時点比 | |
半導体 | 8700 | △400 |
1300 | △100 | |
金融 | 11800 | △900 |
1600 | △100 |
(上段が売上高、下段が営業利益。単位:億円)
金融分野もソニー生命保険の特別勘定の運用損益が悪化し、下方修正した。プレイステーション(PS)4が好調のゲーム & ネットワークサービス分野の見通しに変更はない。
10-12月期の営業利益は市場予想を上回った。ただゲーム&ネットワークサービス分野は、PS4本体の販売数減少や年末商戦時の割引価格での販売によって、前年同期と比較して123億円の減益となった。音楽部門は著作権管理のEMIの連結子会社化による再評価益を計上し、同1078億円増加した。
モルガン・スタンレーMUFG証券の小野雅弘アナリストはリポートで、第3四半期の「ゲーム分野の2桁減益は市場の想定外だった」との見方を示している。
十時CFOは事業環境について、「昨年後半からマクロ経済、地政学などさまざまなリスクが顕在化し今後も楽観できない」と分析。「各事業へは環境変化の兆候に対する感度を上げるとともに、リスクへの備えを怠らないことをCFOとして要請している」と言う。
10-12月期 |
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