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「米国第一」を歓迎する中国-日本抜き国連分担金2位に浮上

  • 人権重視に対抗するための影響力を強めるとの懸念
  • 国連を軽視するトランプ大統領の任期中に中国は存在感高めるか

トランプ米大統領の「米国第一」政策を巡り国連に空白が広がる。その間隙(かんげき)を縫って中国が国連の分担金負担率で日本を抜き2位に浮上した。

  国際機関と世界的な協調に懐疑的なトランプ大統領の姿勢は、中国政府が国連の組織内で独自の構想を推し進める余地が拡大していることを意味する。中国が米国に次ぐ出資国となったことで、人権重視に対抗するための影響力と中国の主張を反映した決議案を提出する力が強まる。

  

Key Speakers At The 73rd Session Of The United Nations General Assembly

国連総会でのトランプ米大統領(2018年9月)

撮影:Jeenah Moon / Bloomberg

  米政府の国連代表部に勤務した経歴もあり現在は国際平和研究所(ニューヨーク)のディレクターを務めるジェーク・シャーマン氏は、「中国は大国としての地位が高まるにつれ、多国間の制度にずっと大きな価値を見いだしている」と述べた上で、「国連を軽視するトランプ大統領の在職中に、どこまでこうしたことを推し進めることができるか」と中国は自らに問い掛けているのだと指摘した。

  トランプ政権が拒否した環境問題を巡る取り決めを中国が支持した際など、国際社会に対する中国のアプローチが世界に安堵(あんど)感をもたらしたこともある。だが欧米外交当局者の間には国連の人権政策を弱め、国家主導の資本主義への支持拡大に向け中国がリーダーシップを発揮しようとするのではとの懸念が強まる。

  米国が国連への拠出金を減らそうとする中で、中国とロシアは昨年の予算交渉で平和維持活動の人権担当ポスト削減を共同で求めた。欧米の反対でこの試みは阻止されたが、中国とロシアが中心となって国連事務総長の下で人権問題への取り組みを調整する小規模な部門の活動をやめさせた。両国は今年再び人権関連ポストを標的にする見込みだと言う外交官もいる。

  国際的な人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの国連担当ディレクター、ルイ・シャルボノー氏は、「国連における人権に関する職務ポストを中国は1つずつなくそうとしている。システミックかつ長期的なアプローチであり、国連という制度をどのようにして自分たちのために使うかを中国は学びつつある」と述べた。

  国連中国政府代表部の担当者にコメントを求めたが、返答はなかった。

Meng Hongwei GETTY Sub

孟宏偉氏

撮影:Roslan Rahman / AFP経由でGetty Images

  トランプ政権は2018年6月、国連人権理事会から脱退。米政府は反イスラエルの偏向があると批判してきた。同委員会の立場を支持した中国は同年、「相互に恩恵のある協力」を求める決議案を提出し可決させた。ブルッキングズ研究所のテッド・ピッコーネ上級研究員は昨年9月、「人権侵害を名指しして戒める」グローバルな戦術を弱めようとしている中国政府にとっての勝利だとリポートで分析した。

  ヘリテージ財団のブレット・シェーファー上級研究員は、国際刑事警察機構(ICPO)の中国出身の孟宏偉総裁が昨年辞任し不可解な失踪を遂げたことに触れ、中国が国際機関のトップを担うことになれば、懸念が広がるとみている。

  国連組織のトップに「米国人もしくは英国人の外交官を指名すれば、欧米の価値観での運営になるかもしれないが、そこには一定水準の独立性を確実にする透明性のあるメカニズムがある」が、「トップが中国人になった場合、その人物はその組織を代表するのだろうか、中国を代表するのだろうか」と同研究員は語った。

原題:China Sees Trump’s ‘America First’ Policies Widening Void at UN(抜粋)

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