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【コラム】盗み成功でボーナスか、中国共産党に逆らえず-シューマン

  • 裁かれるべきは、悪質な社員の許されざる行動ではない
  • 逆風の一部は中国企業という事実から生じているのは確か

米国が華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)起訴に踏み切った。中国の巨大通信機メーカーに対し、企業秘密を盗み出した罪を問う。テクノロジー分野での中国台頭を封じ込めようとするトランプ政権による取り組みの一環との見方がある中で、華為は違法行為をこれまで同様に否定している。

  米国は明らかに広範な地政学的な戦いを中国に仕掛けており、米中両政府間の信頼は危険なレベルにまで低下している。ある意味、その砲火を浴びているのが華為だ。だが、華為が完全なぬれぎぬを着せられているとみるのはますます困難になりつつある。華為に対する訴えや事業活動を巡る疑念はずっと前から続いている。華為が安全保障を脅かすとの意見にくみしない企業や政府でも、火のない所に煙は立つだろうかと自問すべきだ。

  華為は単に地政学の犠牲となって評判を落としているわけではない。米シスコシステムズに提訴された華為は2003年、シスコから一部のルーターソフトウエアを複写したことを認めた。10年には米モトローラ・ソリューションズが同社の企業秘密を盗んだとして華為を訴え、両社はその後和解。TモバイルUSAはロボット技術を華為が盗んだとシアトルの裁判所で争った。17年にTモバイルを支持する判断が下されたが、この窃盗事件は米司法省が今回の起訴でも問題視した。

  今年に入りポーランド当局が華為社員1人をスパイ容疑で逮捕。華為は直ちにこの社員を解雇し、事件と同社は一切関係ないと主張した。これほどの規模の企業で繰り返しルール違反を批判されるケースはほとんどなく、経営陣が適切な倫理規定を社員に教え込むのを怠ったためだと早計に結論付けることは到底できない。米国の起訴状を信じるなら、華為経営陣の罪ははるかに重く、他社から企業秘密を盗み出すことに成功した従業員にボーナスを提供していた。

  ここで示唆されているのは、裁かれるべきは一部の悪質な社員による許されざる行動ではなく、ライバル企業から資産を奪うための会社ぐるみの組織犯罪だということだ。ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)で中国のビジネス・政治経済問題を担当しているスコット・ケネディ氏は、起訴状に記された「最もいまいましい」部分が盗みに報いる賞与プログラムだとしている。

  対イラン制裁に違反したとする米国の要請に基づくカナダでの孟晩舟最高財務責任者(CFO)逮捕は、違法な活動が華為の最高幹部レベルで行われていることを暗示。実際にウィタカー米司法長官代行は犯罪活動が「この会社のトップにまで行き着く」と主張した

  孟CFOの父親である華為創業者、任正非最高経営責任者(CEO)は最近、数年ぶりにメディアの取材に応じ、会社の透明性を高めようと図った。確かに華為への逆風の一部は、同社が中国企業だという事実から生じている。世界は知っているのだ。政府のためにスパイ活動はしていないといかに強く主張しようとも、中国本土の企業であれば共産党に対して「ノー」と言うことがいかに難しいかということを。

  (マイケル・シューマン氏は北京在住です。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Huawei’s Growing Problems Aren’t Just Political: Michael Schuman(抜粋)

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