コンテンツにスキップする

野村HD:10-12月期も赤字-リーマンなど買収企業の価値低下で減損

更新日時
  • インスティネットとリーマンの「のれん」で814億円を減損処理
  • ホールセール部門のあり方を検討中、新方針を4月決算後に公表

国内証券最大手野村ホールディングスは31日、10ー12月期の連結純損益が953億円の赤字だったと発表した。同社が2四半期連続して純損失に沈んだのは、金融危機直後の2009年1-3月期以来初めて。過去に買収した米リーマン・ブラザーズなど海外企業の「のれん」について814億円の減損損失を計上したことなどが響いた。

Views of Nomura and Other Financial Institutions Ahead of Earnings Report

野村證券の支店(19年1月、都内)

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  4-12月期累計の純損益も1013億円の赤字。前年同期は1967億円の黒字だった。19年3月期通期の赤字を避けるためには1-3月期に大幅な黒字を計上する必要がある。格付投資情報センター(R&I)の松島賢宗アナリストは、通期黒字は「相当なことが無い限り難しい」と述べた。17年10-12月期に1208億円の純利益を計上して以降、1000億円を上回っていない。

  今回処理した減損損失のうち810億円をホールセール部門の費用として認識したことから、10-12月期の同部門の税引き前損益は959億円の赤字となった。内訳は07年に買収した米インスティネットが670億円、08年に欧州とアジア事業を買収したリーマン・ブラザーズが140億円だった。

  野村HDが採用している米国会計基準では、買収額と買収した企業の純資産額の差であるのれんを日本基準のように毎期償却する必要はなく、価値が毀損(きそん)した時に損失として計上する減損処理が求められる。

  その判断は定期的な減損テストで行うが、野村HDの場合は営業、ホールセール、アセット・マネジメントの3部門ごとに行っているため、買収先の個別事情というよりは、ホールセール部門全体の業績悪化がのれんの償却につながった。都内で会見した北村巧財務統括責任者(CFO)は「ホールセールの収益力低下でのれんを維持できなくなった」と説明した。

  さらに、「バランスシートに依存した伝統的なトレーディングビジネスはもはや限界にきている」と述べ、ホールセール部門の構造改革方針を「4月の通期決算発表後速やかに公表」する考えを示した。具体的には、毎年春に開催しているインベスター・デーで発表する方針。一方、欧州を中心に最大50人の人員削減を準備しているとの報道については「人員削減の有無を含めてコメントは控える」とした。

フィクスト・インカム低迷

  ホールセール部門が弱体化した背景には、クレジット商品の上乗せ金利が広がったことによるフィクスト・インカム事業の収益悪化がある。同事業の収益(金融費用控除後)は375億円と前年同期比51%減となった。エクイティ事業の収益は659億円と8%増となった。

  SMBC日興証券の中村真一郎アナリストは野村HDの大幅な赤字は「ネガティブサプライズ」とし、「ホールセール部門の抜本的な選択と集中が遅れ、高コスト構造が温存されたことの帰結と言える」と指摘。北村CFOが公表を明言した構造改革は必須であり、短期的には大幅な株価調整が避けられないとの考えを示した。

  国内リテール事業を担当する営業部門では、投資信託や外国株式の取引が低調だったため税引き前利益は同55%減の140億円だった。北村氏は足元の1月も同事業では厳しい状況が続いていると話した。アセット・マネジメント部門は97%減の6億円となった。

  海外拠点の税引き前損益はすべて赤字で、米州が871億円の赤字、欧州が145億円の赤字、アジア・オセアニアが39億円の赤字。合計では1055億円の大幅な赤字(前年同期は17億円の黒字)となった。

第3四半期の主な収益
  • 収益合計は前年同期比14%減の4574億円
  • 委託・投信募集手数料は29%減の727億円
  • 投資銀行業務手数料は13%増の331億円
  • アセット・マネジメント業務手数料は5%減の606億円
  • トレーディング損益は11%増の969億円
(見出しを書き換え、詳細を追加して記事を更新します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE