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浅川財務官、為替条項盛り込むのは「しっくりこない」-日米貿易協定

  • 現地生産や製品の付加価値化が進み、為替と輸出の関連見られず
  • 関連切れた貿易と為替を「政策的にリンクさせる話」-為替条項

財務省で為替を含めた国際政策を統括する浅川雅嗣財務官は30日、日米通商交渉において、貿易協定の中に為替条項が盛り込まれるとすれば、「しっくりこない」との違和感を表明した。

  浅川財務官はブルームバーグとのインタビューで、米通商代表部(USTR)が昨年末に公表した対日通商交渉の基本方針の中で、効果的な国際収支の調整や不公平な競争優位性を得るための為替操作を防止すると記されたことについて、主要7カ国(G7)首脳会議や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の「合意の範囲を出ていない」と、一定の理解を示した。

Japan's Vice Finance Minister Masatsugu Asakawa Interview

インタビューに答える浅川財務官

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  ただ、日本企業の現地生産化の進展や日本製品の高付加価値化や価格設定スタンスの変化により、「為替と輸出のパフォーマンスのリンケージは薄れており、ほとんど明確ではない」と説明。それを踏まえると、日米貿易協定内に為替条項を盛り込むといった「何らかの形で政策的にリンクさせるような話が持ち上がるとすれば、ちょっとしっくりこないところがある」と述べた。

  USTRの基本方針によると、今後本格化する日米通商交渉では、為替や物品貿易を含めた22項目が議題となる見通し。

  米トランプ政権が保護主義的な動きを強める中、日本への圧力も強まる可能性もある。浅川財務官は為替政策について、市場の過度な変動や無秩序な動きは経済に対して悪影響を及ぼすという「G7やG20の合意に従い、真摯(しんし)に為替政策を行っていくことに尽きる」との考えを示した。

  米国のムニューシン財務長官は昨年10月、インドネシア・バリ島で記者団に対して、日本との貿易協定に通貨安誘導を防ぐ為替条項を含めることを目指していると語っていた。日米貿易協定交渉は当初月内にも開始される予定だったが、米政府閉鎖や米中貿易協議の混迷などで開始時期は現時点で見通しが立っていない。

  浅川財務官は海外経済を巡るリスクについて、「経済に対する下方リスクはまだ顕在化はしていないが、リスクは次第に高まってきている」と述べ、英国の欧州連合(EU)離脱や貿易交渉など政治イベントが多いことから、「市場のボラティリティーには細心の注意を持って注視していきたい」と述べた。

  浅川財務官が挙げた注意すべきリスクは、貿易戦争、米金利上昇、中国をはじめとした新興国経済の減速、欧州動向の4つ。米中貿易摩擦については、「顕在化して、リスクが表に出てくるようなことがあると、為替にも影響がある」と述べ、期限となる3月1日までの交渉の推移を見守りたいと語った。

  これまでの財務官としての最長在任期間は、日本銀行の黒田東彦総裁(1999年7月-2003年1月)の3年半。今月14日に浅川財務官の在任期間はこれを超えて、過去最長となった。

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