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【コラム】トヨタ登場、「系列」回帰でEV攻略へ-トリベディ

  • EV向け電池の開発や生産を手掛ける新会社をパナソニックと設立へ
  • グループ内でのEV電池調達、コスト削減や業務合理化に寄与

電気自動車(EV)バッテリー業界にトヨタ自動車がやって来た。

  トヨタとパナソニックは22日、EV向け電池の開発や生産を手掛ける新会社を設立すると発表。トヨタが51%、パナソニックは49%出資する。関係者によると、新会社はマツダのほか、トヨタ子会社のダイハツ工業やSUBARU(スバル)にも電池を供給する。

  EVメーカーの米テスラに電池を供給しているパナソニックにとっては朗報だ。イーロン・マスク氏率いるテスラを巡るリスクから遠ざかることで、パナソニックの投資家は安心するだろう。パナソニック全体の売り上げのうち電池部門は2割にとどまるが、テスラのEV生産遅延はパナソニックに響いている。

Breaking Away

Panasonic's share price used to move in tandem with Tesla but has decoupled as it looks to new partners

Source: Bloomberg

  EVを巡る市場競争で出遅れているトヨタにとっても賢明な選択だ。水素燃料電池などに力を入れていたトヨタだが、世界最大級の自動車メーカーの1社として早急にEV重視を打ち出す必要がある。特にトヨタが中国事業を強化しようとしている現状ではなおさらだ。2017年時点でEV電池市場において15%のシェアを持つパナソニックにとって、トヨタの財務力はプラスだろう。

  最近は韓国のサムスンSDIやLG化学、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)などEV電池メーカーの躍進が目立つ。だが自動車生産全体にEVが占める割合はまだわずかだ。電池メーカーは自動車会社から大口注文を得て、コバルトやニッケルなどの原材料コストを転嫁しているが、トヨタとパナソニックの合弁がうまくいけば、こうしたビジネスモデルはもはや成り立たない可能性がある。テスラとの取引でのパナソニックの経験が示すように、電池メーカーは利益率や生産量など別の要素の管理に苦しんでいる。

  幅広い消費者が購入可能なEV電池を製造するためのコストは引き続き定義が難しい。CATLのように平均販売価格を引き下げれば、利益率低下の受け入れを意味する。また、投資の積み増しと持続不可能な投資額を求められることになる。

Flooding the Zone

With production climbing, the future of battery makers — especially smaller ones — may be bleak

Source: Nomura

  EV電池製造・調達の「系列」化でトヨタはコスト削減と業務の合理化、サプライチェーンの管理がしやすくなるだろう。トヨタは時間をかけて磨いた日本式のビジネス慣行に回帰しつつあるのだ。

  自動車メーカーによるさまざまな分野を巻き込むパートナーシップやアライアンスはまだ具体的な成果を示さず、誰がこのテクノロジーを最終的に保有するのかといった問いへの答えも出ていない。だが利益を補完し合える合弁会社であれば、未来の手ごろな価格のEVに向けより速いペースで進むことができるかもしれない。

  新会社設立を決めたトヨタが歩み始めた方向に、EV電池市場のパワーはシフトしつつあるようだ。
(アンジャニ・トリベディ)

  (アンジャニ・トリベディ氏はアジアの工業セクターの企業を担当するブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:Toyota Finally Has the Power in Electric Cars: Anjani Trivedi(抜粋)

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