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【コラム】ドラギECB総裁へ、欧州経済の問題は深刻-アシュワース

欧州中央銀行(ECB)は目を覚ますべきだ。世界の主要中央銀行の中で、管轄地域の明らかな景気減速に対処する必要が本当にあるのはECBだ。欧州が過去10年で3回目となるリセッション(景気後退)に陥るリスクは現実にある。

  だが、先を見越した行動をとるのはECBの本質にそぐわない。相反するニーズを抱える19カ国から成る政策委員会を通じて金融政策を運営していることが、ECBの弱点だ。新たな四半期経済予測の公表がない24日の次回決定で何らかの発表があることはほぼ期待できない。量的緩和(QE)停止の影響を判断するには時期尚早だがそれでも、1.7%を予測する今年の域内経済成長が実現しないリスクを認識していることを示す必要がある。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は市場の声に耳を傾け、利上げを抑制する姿勢を示した。そのような機敏な対応は、ECBには見られない。ECB政策委員会メンバーの4人は、年内の利上げの必要性を重ねて訴えている。ドラギ総裁だけは迫り来るリスクを意識している様子だが、景気減速を認めた直後にユーロ圏はリセッションには向かってはいないと言明した。これは大胆な予測だ。

ECB You Have A Problem

Manufacturing purchasing managers indexes ahave fallen sharply across the euro area

Source: Markit, Bloomberg

  ユーロ圏4大経済大国はいずれも壁にぶつかっている。ドイツの成長は2013年以来の低水準だった。イタリアの成長は完全に止まった。フランスとスペインには驚くほどの急ブレーキがかかっている。これらはユーロ圏全体の低迷を容易に引き起こすだろう。ECBが金融緩和を縮小させた時期は不運だったように見受けられる。最終的に、破滅的なタイミングだったということになるかもしれない。

  ドラギ総裁は常に、必要に応じてECBはQEを再開することができるとの建前を繰り返しているが、それは内実のない言葉に過ぎない。実際に再開しようとすれば政策委内のタカ派は断固反対するだろう。それでも、ECBは微調整が利くQEを打ち出すことができる。域内全ての国ではなく、必要な国に資金を注入することが可能な条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)がそれだ。

  欧州の政治・経済情勢がぜい弱な中で、TLTROはリセッションを防ぐ上で重要な役割を果たし得る。ドラギ総裁はすでに、新たなTLTROが政策委員会で議論されたと語っている。ECBは欧州経済の行く末が決まってしまうまで様子見をするのではなく、前倒しで行動するべきだ。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Mario Draghi, You Have a Serious Problem: Marcus Ashworth(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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