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米政府機関の閉鎖、各方面で悪影響が一気に深刻化する恐れ

  • 食料配給券の受給、IPO、民事訴訟や医薬品審査にも影響か
  • 閉鎖の影響は「加速度的に悪化するだろう」-シンクタンク

米国の空港で保安検査官が相次いで職場放棄し、飛行機が離着陸できなくなる。連邦裁判所で民事訴訟の審理が中断。公営バスの運行がストップ。3800万人の米国人がフードスタンプ(食料配給券)を受給できなくなる。

  連邦政府関係者やウォール街のアナリストは、すでに最長記録を更新した一部政府機関の閉鎖が春、もしくはそれ以降まで続いた場合を想定した、いわば悪夢のシナリオを思い描いている。

Airport Security Lanes Crimped In Atlanta Amid Shutdown

アトランタ国際空港の保安検査官(1月14日)

Elijah Nouvelage / Bloomberg

  ワシントンのシンクタンク、アメリカ進歩センター(CAP)のシニアアドバイザー、サム・バーガー氏は、「政府機関閉鎖は線形ではなく加速度的に悪化する」と語った。同氏はオバマ政権時代に行政管理予算局(OMB)で勤務した経験を持つ。

  トランプ政権は税還付の処理に関してこれまでの法解釈を見直すなど、政府機関閉鎖の影響を軽減する工夫を凝らしてきた。だが、利用者手数料や残余金その他の財源で運営費を捻出できていた政府機関でも、資金は枯渇に向かっている。

  先週の時点で、数十万人の連邦職員が給与支給を受けられなかった。

  国土安全保障省、環境保護局(EPA)など10余りの連邦政府機関が閉鎖したことの影響は全米で実感されるようになり、経済、公共安全、企業活動や個人所得を脅かしている。悪化の一途をたどる見通しだ。

  政府閉鎖が長引く中で想定される影響を次に列挙してみた。

セーフティーネット

  • フードスタンプの支給は2月以降、資金不足で続けられなくなる可能性がある-農務省
  • 住宅都市開発省は家賃補助契約について、昨年12月に失効したか今年1月に失効する1150件の更新ができないと表明。約4万の低所得世帯に影響する見通し

無報酬の勤務を巡る状況

  • 運輸保安局(TSA)の保安検査官は欠勤率が平常時の2倍となっており、マイアミやヒューストン、バージニアなどの空港では保安検査場が縮小されている
  • 国境監視員や航空管制官、消防隊員、連邦刑務所の刑務官など、他に必須と見なされる職員についても欠勤率が高まる恐れもある

政府機関が入居するビルの賃料支払い

  • 一般調達局(GSA)は通常、月末に賃料支払いを行っているが、今月末には閉鎖の影響で支払いが滞る可能性がある-不動産仲介のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのダリアン・ルブラン氏
  • 政府機関の賃料支払いが滞っても、地主には対応するよい手だてがない。法律により、政府機関を立ち退かせることはできず、訴訟提起が唯一の手段

連邦裁判制度

  • 連邦裁判所事務局によると、連邦裁判所は「1月25日まで報酬支給を伴った業務を継続できる」が、その後の業務は「不可欠な業務」のみとなる。個々の裁判所が判断する。地裁と高裁、また破産法裁判所は業務を縮小する。刑事訴訟に中断はないが、連邦政府が関与する民事訴訟の一部はすでに中断となった

米食品医薬品局(FDA)

  • 食品安全検査の一部はすでに中断。医薬品の審査は、審査料の徴収ができないため新たな申請を受け付けておらず、審査に充てる資金も数週間で底を突く見通し

IPOの滞り

  • 公設の証券取引所での新規株式公開(IPO)が実施されなくなる恐れがある。米証券取引委員会(SEC)が業務を再開するまで、IPO計画の届け出を希望する企業はSECのフィードバックが受けられない
  • 上期のIPOを目指してきたウーバー・テクノロジーズとリフトは、政府閉鎖でIPOが遅れる可能性があると関係者は述べている

その他企業活動への影響

  • 当局の承認が必要なため、新製品の導入や合併・買収(M&A)の完了が先送りになる企業もありそうだ。例えばフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、EPAの排ガス基準認証を受けるまで、ピックアップトラック「ラム」の新モデルを販売できない
  • TモバイルUSによるスプリントの買収は、連邦通信委員会(FCC)の承認を得ないと先に進めない。FCCは大半が閉鎖状態にある

原題:The Shutdown’s Bad. Buckle Up Because It Could Get Much Worse(抜粋)

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