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日立:英原発建設計画を凍結、今期に3000億円の減損損失を計上へ

更新日時
  • 今期の黒字は維持-純利益予想1000億円に下方修正
  • 東原社長:英原発子会社の売却も検討-政府の原発輸出政策の見直し必至

日立製作所は17日、英国での原子力発電所建設計画を凍結すると発表した。英国政府と事業費の追加支援などを巡り交渉を進めていたが条件合意には時間がかかると判断し、経済性の観点から決定した。

Hitachi Ltd. CEO Toshiaki Higashihara

会見に登壇した東原敏明社長(17日)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  同社の発表によると、これまで英政府とは、事業への投融資など支援策のほか、資金調達のモデル、原発の建設や運営に関する諸条件について日本政府の協力も得ながら協議を重ねていたという。計画凍結となったことで今期(2019年3月期)に3000億円の減損損失を計上する見通しも明らかにした。その結果、同期の純利益予想を従来の4000億円から1000億円に減額した。

  都内で会見した東原敏昭社長は、「民間の企業として3000億円の負担が限界」だとし、英政府との交渉には時間がかかることから凍結を決断したと話した。その上で、「将来的には完全撤退もあり得るし、交渉の行方を見ながらゼロからやり直すこともある」と述べた。12年10月に買収した英原子力発電事業開発会社ホライズン・ニュークリア・パワーについても、売却を視野に検討を進めていることを明らかにした。

  英中西部アングルシー島に改良型沸騰水型原子炉2基を建設し、20年代前半に初号機の運転開始を計画していた。日立は19年中の最終投資判断を目指し、昨年から英政府との調整に入っていた。今後も英政府との協議を継続する方針だが、計画の白紙撤回となれば同社の海外での原発建設計画はなくなることになる。

  東原氏は、今後数年は日本国内での原発の廃炉処理を重点的に行うとし、国内原発メーカーの統合について「人材確保や効率化の面から必要であれば議論すべきだ」との見解を示した。

膨らむ事業費

  英メイ首相とも直接会談した同社の中西宏明会長は昨年12月末、1月までとの期限を設けて英政府と追加の支援について協議し判断する方針を表明していた。東日本大震災後の原発事故を受けて安全基準が世界的に引き上げられたことから、原発の建設費用は増大。日本経済新聞などの報道によると、当初約2兆円と試算していた事業費は約3兆円まで膨らんでいるという。

  SBI証券の雨宮京子シニア・マーケットアドバイザーは、三菱重工業がトルコで進めている原発建造計画も難航しており「政府が推進してきた原発輸出政策はこれで行き詰まった格好となることから政策の見直しは必至」と指摘。一方で、日立は経済合理性に基づいた判断を示したことで「ガバナンスが効いている企業であることを証明した」との見解を示した。

  計画の中断については日経新聞が11日に報じた。これを好感し同日の株価は前日比8.6%高となり、翌営業日15日も7.1%高となっていた。

(会見の内容を追加して記事を更新します.)
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