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日産:ゴーン被告抜きの体制作り進む、会長職廃止も-勾留2カ月

更新日時
  • 連日の会議で社内のあらゆる機能見直し、問題契機に発展を-井原氏
  • ゴーン被告不在長期化の見通し-特別背任で追起訴、保釈請求も却下

カルロス・ゴーン日産自動車前会長が東京地検に特別背任の罪で追起訴されたことでさらなる勾留長期化が確実となるなか、同社ではガバナンス(企業統治)再建に向けた議論が急ピッチで進められている。かつて経営危機に陥った会社を救ったカリスマ経営者抜きでの経営体制が着々とできつつある。
 
  「すべてを洗い出している」。日産の井原慶子社外取締役は現在進められているガバナンスの見直しが報酬や人事の決め方などゴーン被告の問題と直接関連する部分に限定せず、社内のほぼすべての機能に関して行われていることを都内でのインタビューで明らかにした。

Nissan External Board Member Keiko Ihara Interview

井原慶子社外取締役

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  議論の対象は膨大で、ほぼ連日会議が行われている。井原氏ら3人の社外取締役はゴーン被告の解職で空席となっている後任会長候補の選任も委ねられているが、まずは会長職の果たすべき役割の再定義を優先しているという。「会長職が必要かどうかという議論」もあり、井原氏は会長職の役割を再考し、問題があればこれまでのやり方を思い切って変えていくべきだと述べた。

  日産はゴーン被告をめぐる問題を踏まえ、12月に社外の有識者も含めて原因究明とガバナンスの改善策などを検討する特別委員会を設置。3月末をめどに同委からまず報酬の決定方法についての改善策を受け取る予定だ。検討委は20日に初会合を開く。

  井原氏ら独立社外取締役は弁護士や、上場企業の経営者、学者など多様な経験を持つ専門家との協議を通じてあらゆる角度から日産のガバナンス強化に取り組んでいるとし、「協議した内容は提案して取締役会で決議するなど急ピッチで改善は進めている」と述べた。

  井原氏は仏ルノーとは今後のコストカット策など事業面に関しても話し合いを進めており、「ビジョンは大きく組み立てられている」と話した。今回の問題を契機にガバナンスの再構築ができれば世界有数の自動車連合として発展し、電動化や自動運転などさまざまな分野で高度な技術が求められるようになる今後のモビリティー社会の形成に貢献できることを期待しているという。

  自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは、会長職が廃止されれば「ルノーとの関係上、日産がコントロールしやすくなるメリットがある」と話す。その一方で権力が社長に集中して独裁体制に陥るリスクも否定できないと指摘。「一人の意見が独走しないように取締役のメンバー全員でガバナンスに取り組めるような仕組み作りをすることが重要だ」と述べた。

裁判所判断で勾留更新も

  井原氏は1997年法政大学経済学部卒。在学中にレースクイーンとして活躍する中でモータースポーツの魅力に触れ、25歳でレーサーデビューした。海外に移住して数々のレースに参戦し2014年に世界耐久選手権(WEC)日本ラウンドなどで女性初の表彰台獲得、ル・マン24時間レースでアジア人女性として初めて完走するなどの実績を残し、18年6月に日産社外取締役に就任した。慶応大学大学院特任准教授や経済産業省の審議会委員も務めている。

  ゴーン被告側は追起訴となったことで保釈請求を申請したが、東京地裁は却下。準抗告も棄却された。東京地検の久木元伸次席検事は11日の会見で、保釈請求が認められなければゴーン被告の勾留期限は3月10日までの2カ月間になると述べていた。刑事訴訟法では、その後も裁判所の判断で勾留期間は1カ月ずつ更新することも認められている。公判開始の時期は検察と被告側弁護士、裁判所の協議で決めるという。
  
  勾留がさらに長期化する可能性が高まっているなか、フランスのルメール経済・財務省は、ルノーの会長兼最高経営責任者を務めるゴーン被告の解任を呼びかけた。

  ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太アナリストは10日付のリポートで、ゴーン前会長の解任で次の焦点は「取締役からの解任と新たな経営体制の構築に移っている」と指摘。新マネジメント体制の構築に時間がかかる場合、事業の意思決定に遅れが出るなどのマイナスの影響が顕在化する可能性もあるとした。

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