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メイ英首相、厳しい交渉に直面-野党が離脱先延ばしなど要求

更新日時
  • 不信任案否決受け超党派協議始まる、労働党コービン党首は不参加
  • メイ首相は21日までに合意修正案「プランB」を議会に示す必要
U.K. Prime Minister Theresa May.

U.K. Prime Minister Theresa May.

Photographer: Press Association via AP Images

U.K. Prime Minister Theresa May.

Photographer: Press Association via AP Images

英下院は16日、メイ内閣に対する不信任案を僅差で否決した。メイ首相は当面の危機を脱したものの、欧州連合(EU)離脱案を巡ってこれから野党などとの妥結を目指し、最も難しく危うい交渉に当たることになる。

  事情に詳しい関係者によると、EU離脱予定日が10週間後に迫る中、メイ首相は議会を通過させることができる案の策定に向け、これまで譲れないとしてきた条件についても交渉に応じる用意がある。これは、EUとより密接な関係を維持するという野党が求めている結果につながる可能性がある。

  メイ首相は不信任案否決後間もなく、難局打開に向け超党派協議を開始した。首相は21日までに議会に自身の合意修正案「プランB」を説明しなければならない。

Government Fights for Survival After Humiliating Brexit Deal Defeat

首相官邸前で話すメイ英首相(1月16日)

  メイ首相は議員らに対し、「政府は建設的な姿勢でこれらの協議に臨む。他の参加者も同じ姿勢で臨んでいただきたい」とした上で、「われわれは交渉可能かつ下院で十分な支持を得ることができる解決策を見つける必要がある」と語った。

  不信任案否決を受け、ポンドは上昇した。超党派協議により、EUとの貿易関係を維持する離脱案がまとまるとの期待が高まった。

  しかし、メイ首相は超党派協議で野党から協力を得るにしても、その代価はあまりにも高くつくことがすぐに明白となった。各党の党首らが協議参加の条件として、離脱時期の先延ばしなどに加え、離脱の是非を問う再国民投票の選択肢まで残すよう要求したからだ。

  さらに最大野党労働党のコービン党首が協議参加を拒否したため、メイ首相の窮状は深まった。

  メイ首相は16日夜遅くのテレビ演説で、自由民主党やスコットランド国民党(SNP)、ウェールズの地域政党、ウェールズ民族党と「建設的」な話し合いを持ったと発言。ただ、コービン氏が協議参加を断ったことは「残念」だとし、同氏の考えが変わればいつでも参加を歓迎すると述べた。

離脱先延ばし

  メイ首相は内閣不信任は逃れたものの離脱を巡る政治の危機的状況は続いており、先行きは依然不透明だ。英国とEUの当局者は、英国が離脱を先延ばしさせる必要があるという見方を一段と強めている。しかしメイ首相はこれまでのところ、この選択肢を検討するつもりはないと公言している。

  メイ首相は今後、労働党やSNP、自由民主党の議員らの支持を得られる可能性がある代替案を見つける以外に選択肢はほとんどなさそうだ。これらの党はメイ首相の案よりもEUとの貿易関係を密接にすることを望んでおり、例えば労働党は関税同盟への完全かつ恒久的な加盟を主張している。

  だが、与党保守党の離脱強硬派の多くはこれに反対する立場を取っている。離脱強硬派は不信任投票ではメイ首相を支持したものの、首相が当初案よりも強くEUのルールに縛られる譲歩案を探った場合は直ちに反発する見通しだ。

  北アイルランドの民主統一党(DUP)からの支持取り付けは、メイ首相が離脱案を大幅に修正することが条件とされる。メイ首相が保守党やDUPの支持を失えば、この先、新たな内閣不信任案が提出された場合、可決される恐れがある。そうなればコービン氏が目指す総選挙につながる可能性がある。

  英議会がEUとの離脱合意案を承認しなければ、英国は3月29日に合意なしで離脱することになる。英当局はその場合、リセッション(景気後退)を招く恐れがあり、ポンドは最大25%下落、住宅価格も30%程度の急落に見舞われると警告している。既に製造業者のサプライヤーは万一の場合に備えて在庫を増やしている。

Government Fights for Survival After Humiliating Brexit Deal Defeat

ロンドンの自宅を出るコービン労働党党首(1月16日)

Photographer: Luke MacGregor/Bloomberg

  コービン氏は協議の前提条件として、メイ首相が合意なきEU離脱の可能性を否定しなければならないと主張。メイ首相の報道官は記者団に対し、首相はそれに応じるつもりはないと説明したが、コービン党首側は合意なき離脱が「脅し」に使われていると反発した。

  事情に詳しい関係者によると、メイ首相は次の方策を議論するためEU首脳らと電話会談を行っている。

  ただ、EUがどの程度助けになるかははっきりしない。EU外交官によると、EUは必要ならリスボン条約50条が定める離脱交渉期間を夏以降まで延長する用意がある。しかしEUの首席交渉官を務めるミシェル・バルニエ氏は16日、合意した離脱案で最も問題となっているアイルランドとの国境を巡る「安全策」は絶対に必要だと発言した。

A Vote of Some Confidence

More Conservatives have confidence in May’s leadership than in her Brexit deal

Source: Parliamentary Digital Service

原題:May Faces Tough Talks With Opponents to Get a New Brexit Deal(抜粋)

(超党派協議の情報などを追加して更新します.)
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