ポンド相場の地合い改善、英議会採決控えトレーダーがポジション移行
masaki kondo、Michael G. Wilson、Vassilis Karamanis-
リスクリバーサルが示すポンドの強気、昨年4月以来の高水準
-
英国のEU離脱期限延長ならポンドは1.30ドル超えへ-亀岡氏
英国の欧州連合(EU)離脱問題は解決困難なほどもつれている様子だが、資金の動きはより好意的な結果を見込む方向へと移りつつある。
メイ英首相のEU離脱案が15日の議会採決で否決されることがほぼ確実される中、コールオプションを買ってプットオプションを売るリスクリバーサルが示すポンドの強気センチメントは昨年4月以来の高水準に上昇した。ポンドは1月安値からほぼ4%上げ、14日には2カ月ぶり高値となる1ポンド=1.2930ドルを付けた。
英国のEU離脱期限が現在の3月末から延期されることになれば、ポンドは1.30ドルを上回る水準まで反発していく可能性があると、大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは述べた。15日の議会採決が否決なら国民投票が再度行われてEU離脱の撤回に至る可能性があり、そうなればポンドの上げ材料になるだろうと、同氏はみている。
以下に4つのチャートで、ポンドに対するトレーダーのポジショニングを示す。

リスクリバーサルが示すポンドのプットに対するコールの相対需要は、1カ月物でわずかにプットの需要がコールを上回る程度まで上昇。合意なきEU離脱に至る可能性は後退したと投資家が見なしていることを示唆する。ブルームバーグがまとめたデータによると、オプション価格は向こう1カ月でポンドが3%上昇する確率が44%であることを示している。

前向きなセンチメントに後押しされ、ポンドは昨年11月以降で初めて100日移動平均を今週上回った。100日移動平均は昨年9月から11月の上昇局面で上値を抑えてきた。この水準を決定的に上抜けることができれば、現時点で1.3108ドルにある200日移動平均への上昇が視野に入る。

ポンドのコールオプションが買われている理由には、依然として弱気に傾くポジションへのヘッジを多くのファンドが求めているという背景がある。ポンドのポジショニングに関するシティグループの指数は14日にマイナス30前後。ポンドに対して為替ファンドのポジションは引き続きネットショートであることを示したが、昨年8月のマイナス68.5からは弱気の度合いが後退した。
Unwinding Shorts
Traders turn bullish in the pound on tenors up to three weeks
Source: Bloomberg
コールとプットの需要の相違を示すボラティリティー・スキューは、投資家がポンドのショートを巻き戻したことを表している。
原題:Pound Sentiment Improves in Traders’ Positioning for Brexit Vote(抜粋)