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為替変動巡る投資家ガイド-通貨当局者の発言から読む政策意図

  • 浅川財務官「過度な変動望ましくない」「緊張感もって注視」と発言
  • 円売り介入は2011年、円買い介入は1998年が最後

年末年始の株式・為替市場は米中貿易戦争の激化や米利上げ懸念などから変動幅が大きくなり、ドル・円相場は一時1ドル=104円台と9カ月ぶりの円高水準を記録した。ボラティリティー拡大への警戒がくすぶる中、麻生太郎財務相や浅川雅嗣財務官ら通貨当局者には、対応への質問が相次いでいる。

  足元の市場変動を受け、財務省と金融庁、日本銀行の幹部らは昨年12月20日と同25日、年明けの1月4日と3週連続で意見交換を行う3者会合を開催した。浅川財務官は前月25日の会合後、市場の反応はオーバーシュート気味だと発言。4日の会合後には、「過度な変動は望ましくない」とした上で、「強い懸念を持って認識せざるを得ない。投機的な動きがあるかないか緊張感を持って注視したい」と表明した。さらに、過度な変動に対しては通貨当局者間で協調するという主要7カ国(G7)や主要20カ国・地域(G20)での合意に従って「適切に対応する」と語った。
     
  為替変動に対する政策当局者の懸念の度合いを過去の発言に基づいて類型化し、以下に列挙した。日本は2011年を最後に為替介入を実施していないため、為替が大きく変動した局面における警戒度の強い発言は当時の表現をそのまま採用。ただ、投資リターンの過去のパフォーマンスが将来の結果を保証するとは限らないように、政策当局者が今後言い回しを変えてくることは常にあり得る。円相場を取り巻く環境が異なるため、今回の浅川財務官発言は含めていない。

為替変動が多少見られる局面:

「相場についてはコメントしない」
「市場動向に一喜一憂しない」

為替変動が続く局面:

「為替相場は安定期に推移するのが望ましい」
「相場は日本経済のファンダメンタルズを反映するのが望ましい」

為替変動を警戒し始めた局面:

「市場動向を注視している」
「市場動向を注意深く見守っている」
「市場動向を大きな関心を持って注視している」

さらに為替変動が増大した局面:

「経済のファンダメンタルズを反映していない」
「為替の行き過ぎた変動は日本経済に好ましくない/悪影響を与える」

当局者が為替変動に一段と懸念を抱くようになった局面:

「相場は経済のファンダメンタルズを反映していない」
「円相場の動きは行き過ぎている/一方的だ」

変動が激しくなった場合には「明らか」が使われることも:

「相場の動きが経済のファンダメンタルズを反映していないことは明らかだ」
「相場の動向は明らかに行き過ぎている/一方的だ」

介入への警告を発する場合:

「行き過ぎた相場の動きに対してはあらゆる措置を排除しない」
「行き過ぎた/投機的な相場の動きに対しては断固たる措置を取る用意がある」

  為替市場への介入の判断は財務省が行い、日銀は財務省からの具体的指示に基づいて介入を実施する。円高阻止を狙った為替介入は、東日本大震災が発生した2011年を最後にここ7年余り見られていない。1998年は円安是正を目的に日米当局が円買い・ドル売りの協調介入を行った。

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