日本の大手資産運用会社、今年は新興国市場投資に回帰か

  • 米国の成長鈍化で、新興国市場の資産に資金が戻る見込み
  • 米金利上昇止まれば新興国株に資金戻りやすくなる-野村アセット

新興国市場は2018年に低迷したが、今年は先進国市場のパフォーマンスを上回る。日本の大手資産運用会社の一部がそうした見通しを明らかにした。

  米国経済の成長率は今後鈍化するが、リセッション(景気後退)は回避し、新興市場資産への資金回帰を促すだろうと、三井住友アセットマネジメントと野村アセットマネジメント、大和証券投資信託委託が指摘した。また、米金融当局が利上げを停止すれば、そうした資金回帰を招く可能性があるという。

  三井住友アセットマネジメントの永見哲グローバル戦略運用グループヘッドは、「利上げはできるが、ゆっくりとしたペースになる。恐らくドル一極集中から、徐々にまたリスクをとるような形でマネーの流れが変化すると思う」とし、今年や来年に「景気失速が起こらないのであれば、そのトレンドが続くと思う」と指摘した。

  昨年は新興国株の指標であるMSCI新興市場指数が17%値下がりしたほか、ブルームバーグが調査する新興国24通貨のうち、タイ・バーツとメキシコ・ペソを除く全ての通貨が下落。世界的に成長が減速しつつある兆しや、米国の4回の利上げでドルに資金が集まったため、新興国市場の資産は敬遠された。

  新興国市場が最終的に回復するのはいつになるか、というのが19年の年明けにトレーダーや投資家が直面している大きな問題の一つだ。昨年1月の値下がり開始からストラテジストらは何度も回復を予想してきたが、そのたびに資産は安値を更新した。

  大和証券投資信託委託の長野吉納調査部長は、回復が近づいている可能性があるとの見方を示した。懸念されている米金融政策および金利動向、米中摩擦といった要因がだいぶ落ち着いてくるとみる同氏は「現在だと、新興国の方が買いづらいというムードではあると思うが、最終的な1年後を振り返ってのパフォーマンスでいうと、新興国の方が意外と良かったという1年になるかと思っている」と指摘。「株・債券ともに意外と良い状態にある。株・債券両方ともに投資のチャンスはあると考えている」と述べた。

  野村アセットマネジメントの榊茂樹運用調査部チーフ・ストラテジストは、新興国はこれまで下げたということもあって、米国の金利上昇が今年前半ぐらいで止まれば、少し新興国株の方にお金が戻りやすくなってくると分析。「相対的には、先進国に対して新興国がややアウトパフォームするという動きが出てくるのではないかと考えている」と語った。

  資産運用各社の他のコメントは以下の通り。

野村アセットの榊氏:

  • 南米やトルコなども含めた中近東から東欧といったマーケットの方が、比較的早めに回復する余地があるのではないか
  • ややまだ慎重に見ているのは、中国や東南アジア。まだ米中摩擦の問題などを抱えている
  • 新興国通貨そのものが安くなってしまっている。昨年、急落したものが多くなって、割安感が出ている通貨がそれなりに増えている
  • これまである程度利上げしたところ、通貨防衛のために利上げせざるを得なかったブラジルやインドネシア、トルコなども多少緩和余地が出てくる
  • 米国で段階的な利上げがこれまで続いており、まだ3月ぐらいまでは利上げがあると思っているが、6月ぐらいは微妙になってくる。段階的な利上げが終わってもこれまでの利上げの影響はマーケットや経済全体にいろいろな形で出てくるので、それをどのようにマーケットとして消化していくかが一番大きなテーマだと思う

三井住友アセットの永見氏:

  • 中国が悪くなければ、その周辺国はそれほど悪くないというイメージを持っている
  • 金利水準はそもそも低い。キャピタルゲインは債券の方はそれほど大きいものは期待できない。むしろ企業業績を背景に緩やかに上昇するポテンシャルがある株の方がまだ有利な位置にあるのではないかと思う。日本においては、債券はポテンシャルがないので、そういう意味で株が上がるかどうかということがすべてだと思う

大和証券投資信託委託の長野氏:

  • 中国はさすがに少し難しいところがあると思う。中国以外のアジアは比較的良い状況にはなってくると思う
  • 他の主要なところ、メキシコ、ブラジル、トルコ、南アフリカなどは、なかなか政治的に難しいところが多いのかと思う
  • 先進国の中では相対的に言えば、足元で割安感の強い日本、それから土台の強い米国、そしてもろもろ不安感の多い欧州という順番かと思う。単純に1年終わっての騰落率比較で言うとそういう順番の可能性が高いと思っている

日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジスト:

  • 株と債券については、世界的に株は強気で、債券についてはおおむね横ばいで予想している
  • 株の中では日本やドイツに相対的に強気で、米国のようなインターネット中心にこれまで上がってきたようなところは相対的にあまり良くないという区別で考えている
  • 19年まではマーケットの期待としてのデフレ脱却もCPIの上昇も難しいのではないかと思う。20年になると、輸出の伸びが設備投資や残業代などをさらに増やしてデフレ脱却的になっていくということを言いやすくなると思うが、19年のうちにそれが起こるとは思わない

原題:Japan’s Biggest Funds May Return to Emerging Markets This Year(抜粋)

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