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【起債評価】投資家より選別色、発行体「早・長・多」-みずほ年間展望

  • 投資家はスプレッド拡大に備えて社債残高の調整や銘柄選別が鮮明
  • 先行き不透明感で発行体は「早く・長く・多く」の起債スタンスに

今年の一般債(国債を除く債券全て)市場の展望について、みずほ証券の戸高洋祐・プロダクツ本部副本部長に話を聞いた。戸高氏は、市場が調整局面にある中で投資家は選別色を強め、発行体は将来に備えて「なるべく早く・長く・多く」という姿勢を取るとみている。

○社債発行の見通しはーー
「今年度は10兆円以上になる可能性がある。足元も発行体の起債意欲は高く、今年度は四半期で見ると第3四半期の発行額が最も多く、過去にはあまりない傾向がみられている。19年も大型調達ニーズの企業が複数ある。一方、下期以降投資家の動きがやや鈍化してきたと感じている。発行水準の急速な変化で起債を見送る企業が出てくる可能性も否定できないため、年初から投資家の需要状況見極めが非常に重要になる」

○市場変動の影響はーー
「投資家は今後のスプレッド拡大などマーケット環境の悪化を懸念して、社債残高の調整や銘柄選別の動きを強め、今後もそうした傾向は続くだろう。劣後債を買っても低格付け普通社債を買わない投資家など、リターンがリスクに見合っているかについてより吟味されるようになってきていると感じている。特に希少性が高い初起債や業種では鉄道や食品など残高があまり多くない銘柄、ディフェンシブな銘柄などの人気は根強い」

「世界的な運用難の中で金融資産は全て割高なところに張り付く傾向があった。社債では相対的に高いスプレッドの銘柄が人気化することで、『スプレッド潰し』により結局全体のスプレッドがタイトニングしている状況。こうした環境下ではどのマーケットもちょっとしたイベントに対する価格調整が起こりやすく、引き続き投資家の選別色は高い状態が続くのではないだろうか」

○発行体の起債ニーズはーー
「市場が変動する中、先行き不透明感に備えて発行ニーズは強い。今後の大幅な市場変動に備え社債での調達が可能なうちに発行、手元資金に余裕を持ちたいという企業は多い。このためキーワードとして『なるべく早く・長く・多く』という起債スタンスが目立ち、成長資金、将来の環境急変に備える調達のニーズは引き続き強いと感じている」

○起債運営での最近の変化はーー
「環境が変化する中で柔軟性は重要になる。リーマンショックなど厳しい局面では減額や起債延期、中止の対応事例はあり、前例の積み上がりとともにそういった判断をより柔軟にとれるようになった。以前は減額や延期のイメージが悪かったが、市場との対話という意味ではむしろ適切な判断として認識されはじめたと感じる」

○年限別の動向はーー
「超長期債に対する投資家の慎重姿勢が強まっているうえ、発行総額を押し上げるツールとして有効だった3年債も日銀の社債買い取りオペのレートがプラス圏に浮上し難しくなっている。従来の希望年限の組み替えや再考する必要性も出てくるだろう。下期入り後は、実際に超長期債発行を断念した企業もみられた。今後、結局金利が上がらないというセンチメントが市場に浸透すれば再び超長期債への需要が高まる可能性もあるため、継続的な市場との対話が重要になってくる」

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