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パウエルFRB議長:市場の動揺静めるも当局のメッセージは不鮮明に

  • 利上げ停止、バランスシート縮小プログラムの変更の可能性も示唆
  • 景気判断やバランスシート縮小巡り投資家との認識のずれ浮き彫り

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日、利上げを一時停止する可能性を示唆し、荒れ模様の金融市場を何とか落ち着かせることができた。だがその結果、金融政策を巡るメッセージはこれまでより不鮮明になり、このような沈静化策がいつまで通用するのか問われることになりそうだ。

  米経済学会(AEA)年次総会で発言したパウエル議長は、投資家が懸念する米経済への下振れリスクに対応するため、金融当局のバランスシート縮小プログラムに変更を加える可能性にも言及した。しかし一連の発言は、当局として今年2回の利上げを予想し、同プログラムの変更は見込まれないとした昨年12月19日の記者会見に比べ、ずっと分かりにくいものとなった。

  アリアンツの主任経済顧問で、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもあるモハメド・エラリアン氏は電子メールで、「パウエル議長は政策の柔軟性についてトレーダーが聴きたがっていた趣旨の発言を行うことで、経済のファンダメンタルズを阻害しかねない相場急落の連鎖に歯止めを掛けることができた」と指摘した。

Stocks bounce on Powell comments, jobs data

  ただ問題なのは、当局のバランスシート縮小が市場にもたらしかねない悪影響や経済見通しを巡って、投資家が抱く最悪の懸念をパウエル議長が受け入れていないように見受けられる点だ。世界経済が逆流に見舞われている現状にあって、米国をはじめとする各国・地域の金融当局が政策の正常化を目指す中で、こうした認識のずれは新たな混乱につながる恐れがある。

  パウエル議長は「米国のデータを見ると、新年にかけて好調な勢いが続く軌道にあると考えられる」と述べ、金融市場でこのところ台頭しているリセッション(景気後退)懸念とは対照的に、米経済見通しに楽観的な判断を示した。

  また、流動性の過度の低下を招いていると投資家が心配するバランスシート縮小に関しても、米金融当局が毎月進めている保有債券削減の額は大きなものではなく、昨年10-12月(第4四半期)の金融市場の動揺の主因ではないとパウエル議長は語り、認識の違いが最も浮き彫りとなった。

  エラリアン氏は「各国・地域の中央銀行は、自分たちにはおおよそ制御できない逆風に加え、ボラティリティーを抑制する側から、逆に拍車を掛ける側への立場の転換という新たな現実に引き続き直面することになるだろう」との見方を示した。

  このほか、ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は、バランスシート縮小プログラムに関して「米金融当局は意思伝達上の問題がある。対象とする聴衆の多くとは異なる経済モデルに基づいて政策運営に当たっている形だ」と分析した。 

原題:Powell Muddies Fed’s Monetary Message to Pacify Markets for Now(抜粋)

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