コンテンツにスキップする

【コラム】トランプ政権の対中戦略、機能せず

  • 中国の重要な転換点は2000年からの約10年と北京五輪の08年
  • マネーロンダリング対策や対米外国投資委員会を強化すべきだ
relates to 【コラム】トランプ政権の対中戦略、機能せず
Photographer: Nicolas Asfouri/AF
relates to 【コラム】トランプ政権の対中戦略、機能せず
Photographer: Nicolas Asfouri/AF

トランプ米政権の貿易を巡る対中強硬姿勢がそれなりに響き、中国は耳を傾け、これまでのところかなりうまくいっている。今の問いは米国が何を達成しよう望んでいるかだ。競争相手としての中国を完膚なきまでにたたきのめすということがその答えだ。

  通商問題は着地点ではない。米政権の要求は矛盾を抱え、その狙いは中国側の最も深いナショナリズムを不必要に目覚めさせる。対中貿易政策に伴う痛みは米経済にも跳ね返り、トランプ政権は大規模な救済プログラムで農業支援を図ろうとしている。

  痛みは、何かを達成できるなら耐えるに値するかもしれない。だが、可能性の高い結末は貿易の縮小と中国製品の値上がりということだけだろう。事実、中国による米国からの輸入は急減し、昨年11月には25%減った。

Two Roads Diverged

China's imports from the U.S. have fallen amid the trade war, while its exports there keep rising

Source: Customs General Administration of China

  上海にある米国商工会議所が調査した米企業の過半数は、貿易戦争が利益を損ね、貿易以外の障壁が増えていると回答。米企業のためにサイバーセキュリティーもしくは知的財産の保護が改善されたとの証拠はない。

  市場アクセスの改善が進み透明性向上とより公平な競争環境の途上にあると米企業が信じていた中国では、2000年からの約10年間に重要な転換点があった。新規株式公開(IPO)の最盛期を迎えていた中国企業、特に国有企業にとって、IPO市場は善意に満ちた無限の資金であふれているように映った。

  08年は決定的な年となった。北京五輪を成功させるための治安対策が情報コントロール強化の仕組みを生み出した。世界が金融危機に見舞われたこの年、中国が打ち出したインフラ事業を通じた景気刺激策が経済を救うかのように見え、中国は特別だという傲慢(ごうまん)さに至り、それが独裁主義モデル成功の裏付けとされ、自己主張の新たな時代を招いた。

  こうして、市場を巡る幻想を解かれ、公害に疲れ、そして今では身の安全についてさえ懸念せざるを得なくなった外国人経営者・実業家からの支持を、中国は失ったのだ(華為技術=ファーウェイ=幹部逮捕の報復としてカナダ人が拘束されたのは全くの暴挙と思われる)。

  だが、これらの問題に対処しようとするトランプ政権の戦略は機能していない。米国の輸出規制を強化すれば必然的に対中輸出が減り、米貿易赤字を増やすというように、多くの政策ゴールは両立しないものとなっている。それでも米国が目標(の大半の)達成を断念することなく、建設的なアプローチを採用できるやり方は幾つかあるはずだ。

  • 知財が盗まれていることに焦点を絞り、貿易赤字に関する要求は取り下げる。知財保護強化と市場アクセスの要求を強固に主張する。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は経験豊富で極めて有能なネゴシエーターであり、ムニューシン米財務長官やロス米商務長官、それにトランプ米大統領はこのプロセスで口出しすべきではない
  • 赤い(共産主義)貴族政治を突くべきだ。華為の孟晩舟最高財務責任者(CFO)逮捕に対する高度に警戒的な反発は、血縁の絡むエリート体制が中国の避けたいテーマであることの明白なシグナルだ。米財務省はより積極的に中国のマネーロンダリング(資金洗浄)に対応し、輸出規制をもっと厳格に執行する必要がある。イランおよび北朝鮮との取引に対する迅速な対中制裁は重要な圧力ポイントとなる
  • 対米外国投資委員会(CFIUS)を強化する。中国市場、特に金融サービス分野への参入に向け、米国は自国市場へアクセスを取引材料とすべきだ。CFIUSによる対米投資審査の厳格化は、そのレバレッジとなり得る

(アン・スティーブンソンヤン)

  (スティーブンソンヤン氏は投資助言サービスを提供するJキャピタル・リサーチの共同創業者です。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Trump’s China Strategy Isn’t Working: Anne Stevenson-Yang(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE