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4月にやって来る節目-中国債市場も貿易戦争の展開次第か

  • 中国市場へのアクセス拡大は地政学的懸念を克服するには十分でない
  • 債券市場への資本流入は中国の国際収支にとって極めて重要

2015年に大規模な資本流出に見舞われた中国で政策当局が思い至ったのは人民元への圧力を軽減するプランだ。世界の債券投資家に門戸を開くことで資金を呼び込み元需要を高めるというのが狙いで、常に資産分散化の方法を探っている大きな海外ファンドが、中国本土の債券市場にも一定のエスポージャーを充てる可能性がある。

  中国が香港経由で海外投資家に本土債を取引を認める「ボンドコネクト」を17年7月に始動させると、本土への資金流入は加速。だが18年後半、海外ファンドはそうした資金の引き揚げを始めた。ICE・バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチのデータによれば、中国国債の18年リターンはプラス7.7%。米国債はプラス0.8%だ。中国国債のリターンは元建てベースだが、元相場はドルに対して5.4%下落した。

  中国市場へのアクセス拡大は、地政学的懸念を克服するには十分でない。米中貿易戦争で人民元相場にも悪影響が及び、外国人投資家は中国債保有を増やことに足踏みしていると市場ウオッチャーは言う。米国に拠点を置く投資家は昨年10月、中国のドル建てソブリン債発行への参加を減らした。5年物の中国債での参加割合はわずか2%と、17年の20%から急低下。中国最大の銀行、中国工商銀行は昨年11月、米国でのドル建て債発行を断念した。

  それでも中国当局は債券投資家を呼び込む取り組みを続け、ゴールドマン・サックス・グループは当局による元の国際化を進める新たなキャンペーンを見込む。グローバルな債券指数に中国債が採用されやすくする抜本的な規制見直しはその一環だ。

  ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合インデックスに中国債が組み入れられる今年4月は大きな節目となる可能性がある。アクセスのしやすさと透明性の基準を満たしていると保証されるためだ(「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌を発行するブルームバーグ・エル・ピーが同指数を管理する)。中国債需要の伸びしろはある。モルガン・スタンレーによると、これまで中国債を購入していたのは中国勢以外では政府系ファンド(SWF)と中央銀行が中心で、官以外の資産運用事業体による買い入れは「ほとんどなかった」という。

Foreign Investors’ Holdings of Chinese Bonds

Monthly change, in yuan

Data: ChinaBond, Bloomberg

   スタンダードチャータードの中国マクロ戦略責任者、劉潔氏(香港在勤)は「貿易戦争と経済再編の中で経常収支が一段と悪化すれば、資本流入、特に債券市場への資本流入は中国の国際収支にとって極めて重要になる」と指摘する。

  貿易黒字が減りつつある中国は、今後数年以内に経常収支が持続的な赤字になると見込むエコノミストすらいる。本土の債券市場に海外からの資金が押し寄せれば、外貨建て債務を危険な水準に膨らませることなく、中国は赤字の穴埋めが可能となる。

  今後数年の資金流入見通しはまちまちだ。モルガン・スタンレーは長期的に約7600億ドル(約82兆4000億円)と想定し、ゴールドマンは22年末までに1兆ドルと見込む。UBSアセット・マネジメントは20年末までで3兆ドルとしている。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの債券ポートフォリオマネジャー、ジェーソン・パン氏(香港在勤)は、同社が中国債保有を最近数カ月増やしていることを明らかにした上で、「買い増すかどうかは貿易戦争次第だ」と述べた。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

原題:China Wants to Find More Foreign Buyers for Its Sovereign Debt(抜粋)

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