コンテンツにスキップする

【コラム】米大学もチャイナマネーの仕切り直しが必要だ-ブランズ

  • 改革・開放政策の中国は米国の教育機関にとって「約束の地」だった
  • デュークやジョンズ・ホプキンスなど中国キャンパス持つ名門校も

中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)が対イラン制裁違反を主張する米国の要請を受けてカナダで逮捕されたことで、米中政府間の緊張が一段と強まると同時に、米国におけるチャイナマネーの暗部にも目が向けられつつある。

  ツイッターの世界で広がったのは、米政府が中国の情報機関とつながりがあると考えている華為からの資金を受け入れている米国のシンクタンクもあるとの指摘だ。

  ここにきて中国との関係について真剣に考える必要があるのは学術・研究機関だけではない。大学もまたジレンマを抱える。米国の競争力を実際に弱めてしまうような条件反射的な反中国政策に向かうことなく、真の危険を回避できるようにすることが、こうしたジレンマに対処する上での厄介な点だ。

  中華人民共和国の建国以来、巨大な中国市場は米国人を引き付けてきた。1970年代以降の米中国交正常化や中国の改革・開放政策の中で、中国は米国の教育機関にとってあたかも「約束の地」のように見なされていた。米国の大学は豊かになり始めた中国人からの資金を求め、高額の授業料を払って米国に留学する中国人も増えた。 

  移民政策研究所(MPI)によれば、米国の大学に留学している外国人の3分の1が中国からの学生。外国人留学生は毎年、米経済に370億ドル(約4兆1000億円)相当を寄与しており、恐らく中国人学生は人数の比率に応じた経済貢献をしている。デューク大学やジョンズ・ホプキンス大学など中国にキャンパスを置く米国の名門校もある。

  中国政府が文化機関「孔子学院」のスポンサーとなることで米国の大学内で中国に有利な宣伝工作を促しているとの見方が伝えられる中で、米国で学んでいる中国人学生を別の中国人学生がスパイしているとの憂慮すべき報道も出てきた。

  米国やオーストラリアなどの国々で浮上した懸念は、中国人民解放軍や中国共産党との密接な結び付きを隠していると思われる一部の中国人学生・研究者が貴重な知的財産を盗み出すために研究所や調査センターにアクセスできる権利を利用しているのではないかということだ。

  今こそ米国の大学は中国との付き合い方をより真剣に考える必要があるが、米国大学教授協会(AAUP)はこの点できちんとした仕切り直しを行っている。米国の大学に孔子学院との秘密協定を結ぶことをやめ、孔子学院を誘致する大学が学術活動に関して一方的に監督し、教授・講師陣に学問の自由を確保できないのであれば、孔子学院を閉鎖するようAAUPは求めた。

  中国にキャンパスを置く米国の大学は、表現の自由を断固として擁護していくべきだ。中国当局がそれとなく、もしくはあからさまに表現の自由を制限したり、学術的な使命に介入したりするのであれば、その時は中国キャンパスを閉鎖するなどの対応が必要になる。

  中国を地政学上の敵ではなく魅力的なパートナーだとずっと見なしていた学術界にとって、こうした調整はいずれも一定の痛みを伴うものになるだろう。だが米国の大学が賢明なやり方で自衛に着手するのが早ければ早いほど、利益以上に害をもたらす一段と極端な措置に一層うまく抵抗できることになる。
(ハル・ブランズ)

  (このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Chinese Money Has American Universities in a Bind: Hal Brands(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE