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【コラム】千載一遇のチャンス逃しつつある中国-ハル・ブランズ

  • 米国の同盟国はトランプ氏の政策におののく-中国には好機
  • だが米国よりも中国が脅威と民主主義陣営に訴えるのに懸命
relates to 【コラム】千載一遇のチャンス逃しつつある中国-ハル・ブランズ
Photographer: Thomas Pool/Getty Images
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千載一遇のチャンスを中国が逃しつつある。米国の同盟国である多くの民主主義国家がトランプ大統領が繰り出すレトリックと政策におののき、ワシントンに対する懸念を深めている現在ほど、こうした民主主義のネットワークを分断し、米国にとって最大の戦略的強みを不安定化させる地政学的な好機はないだろう。

  にもかかわらず中国政府は、気まぐれな米国より覇権主義的な中国からの脅威の方がずっと大きいと民主主義陣営に訴えるのに懸命だ。

  中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)が、対イラン制裁違反を主張する米国の要請を受けてカナダで逮捕されたのが12月1日。米中貿易戦争に伴う緊張が続く中でトランプ大統領が中国の習近平国家主席とブエノスアイレスで会談していた当日だった。

  米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は孟CFO逮捕に関する中国側の公式反応は「抑制的」と報じたが、現実はそれとは正反対だ。中国政府は本土にいたカナダ人2人を国家安全を巡る捜査の一環として相次ぎ拘束した。

  米国と英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(NZ)は「ファイブアイズ」と呼ばれる国が集めた情報を共有するための協定を結んでいるが、中国共産党系の新聞でタカ派色が強い環球時報は、他のファイブアイズ諸国の国民も同じような扱いを受けると暗に示唆。中国国民1人が逮捕されれば、あなた方の国民2人を拘束するという。

  米国ではなくカナダを標的にするとの中国側の判断は、表面上は戦略的にも見える。米国ではない同盟国を罰するという考えで、将来的に対米協力の見直しを促すものだ。だがそうしたロジックは大きな欠陥を抱えており、中国は与えられている桁外れの地政学的な好機を無駄にするリスクを冒しているのだ。

  中国政府の振る舞いは、中国が中心の世界とはいかに嫌なものかと全ての民主主義国家に再認識させるものだ。香港やミャンマー、タイなどでは中国から亡命した反体制派を超法規的に誘拐し、中国に連れ戻している。市民の自由や基本的人権を中国が抑圧していることを恐れず抗議する国々に対し経済・外交面で繰り返し圧力を加えているのが中国政府だ。

  リベラルな国際秩序を脅かすリスクをもたらしているのがトランプ大統領だと極めて多くの国際的なオブザーバーが懸念しているこの時期に、中国は自国がはるかに大きな脅威であるとの多くの証拠を示しているのだ。
 
  中国の人質戦術はショッキングかもしれないが、意外ではない。中国政府は台頭し続ける野心的な独裁国家の典型のように行動している。中国で拘束されている2人のカナダ人にとっては気の毒だが、民主主義陣営にとっては有益な警告だ。
(ハル・ブランズ)

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
  
原題:China’s Blowing a Big Opportunity From Huawei Arrest: Hal Brands(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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