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三井住友F:カバード債の法制化要請へ、海外拡大に外貨安定調達探る

  • 外貨調達余力は生命線、危機時の流出率分析で質を高めるー国部社長
  • 法整備の課題は「優先的な担保設定」の是非ー遠藤金融庁長官

三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、長期的に安定した外貨の調達手段として、カバード債(債権担保付社債)の法制化を金融庁に働きかける。マイナス金利政策や少子高齢化で国内の経営環境が悪化する中、海外事業の拡大に必要な外貨調達手段の多様化を目指す。

Sumitomo Mitsui Financial Group Inc. CEO Takeshi Kunibe Holds Second Quarter News Conference

国部毅社長(2017年11月15日撮影)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  SMFGの国部毅社長はインタビューで、邦銀にとって国際事業部門は収益ドライバーの一つであり、「外貨調達余力は生命線」と強調。金融危機などに備えて国内でも安定的に外貨が調達できる手段を検討する必要があるとして、来年度以後、金融庁にカバード債に関わる法整備を要望していく意向を示した。

  カバード債は、住宅ローン債権を裏付けとして高格付けを取得することで、各国中央銀行などから長期的に安定した資金を調達する手段として欧州などで広く定着。日本では2013年に経済界からの要望で金融庁が国内発行に必要な関連法制を検討したが、喫緊のニーズはないとして「法整備を行うことが適当でない」と結論付けた経緯がある。

  国部社長は、当時に比べて海外事業が増え「外貨調達の面で必要が生じている」との認識で、国内には良質な住宅ローン債権が多く、これを組みこみ投資家に保有してもらう手法は「極めて有効」と話す。

  三井住友銀行は今年10月、国内発行体として初めてルクセンブルク証券取引所に総額200億ユーロ(約2兆6000億円)のカバード債発行プログラムを上場。初回発行は、当初約5億ユーロを見込んでいたが、旺盛な需要に応え10億ユーロとなった。国内関連法が整備されていないため、英国法を含む複雑なスキームを活用。外貨調達の必要性に迫られる国内銀行からはスキームについての問い合わせが相次いでいる。

  欧州カバードボンド協議会(ECBC)によると、世界のカバードボンドの16年末残高は約2兆5000億ユーロ(約325兆円)で、うち9割がデンマークやドイツ、フランスなど欧州各国で発行。シンガポールや韓国などでも近年、法の枠組みが作られた。

海外貸出残高は2倍(2011年比)

邦銀の海外貸出残高推移

出所:国際決済銀行

2018年12月17日付統計

国内法整備の課題

  国内法整備について、金融庁の遠藤俊英長官は先月、ブルームバーグの取材に対し「日本の銀行の喫緊課題と言えなければ国会を通せない」と述べ、議論が必要との見方を示した。法整備の焦点は、「優良貸出債権をひも付きにした債権を優先的に担保に出すこと」の妥当性だと語った。

  日本の倒産法は、企業破綻時は債権者の平等確保が基本となっており、投資家はカバード債の元本と金利が保証されない。新生銀行の江川由紀雄調査部長は、三井住友銀は住宅ローン証券化や破産時の取扱を規定した清算法、リスク包括カバーの取引(TRS)などを組み合わせることで高格付けを取得し市場に受け入れられたが、この仕組みを住宅ローン証券化スキームを持たない他銀行が導入するのは難しいと指摘する。

  カバード債の研究を続けている日本政策投資銀行の吉田博彦経営企画部課長は、13年に政府に働きかけた当時は外貨にこだわらない資金調達手段として必要性を追求したが、今では当時よりも「ニーズが外貨にシフトしている」と指摘。法制化に向け「発行体や当局で必要性に対する認識共有が大事」と述べた。

質を高める

  国部氏がカバード債にこだわるもうひとつの理由は調達資金が流出しにくい点だ。18年9月末現在の同社の調達状況は、外貨貸出金等約3000億ドルに対し、顧客性預金と中長期調達は約3300億ドルと金額ベースでは十分だ。しかし、国部社長は「外貨は調達だけでなく危機時の流出率分析が大事」だとして、「質の入れ替えで流出リスクの軽減」を図っている。

  市場変化に影響されやすい譲渡性預金(CD)やコマーシャルペーパー(CP)など短期性預金は中長期調達などで補う形にするほか、2008年世界金融危機時も影響が想定的に小さかったことで知られるカバード債は、今後も継続的に発行する計画だと国部氏は語った。

  ムーディーズ・ジャパンによると、メガ3行は米ドル建ての流動性が潤沢だった2013年3月期から16年3月期にかけて海外貸出を積極的に広げてきたが、金利上昇に伴い資金調達はタイト化している。海外で預金を取り込み、貸出を抑制することで外貨建て貸出と預金の差を縮小しているが、預金は個人より安定性が低いホールセールが大半を占めるのが現状だ。

  また、国際資本規制「バーゼル3」の最終枠組みが決まったことで、SMFGは資本を投資に振り向ける。国部氏は、経営環境が現状のままであれば投資余力は今後5年間で1兆円程度積み上がる見込みだとして、今後インドネシアだけでなくベトナムなどでフルバンキング提供を検討し、「経済成長の果実をグループの収益に取り込む」と語った。

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