コンテンツにスキップする

トランプ大統領、パウエル議長解任目指せば困難直面は必至か

  • 過去の判例、独立機関の当局者を大統領の解任から保護
  • 議会は任期途中での解任からFRB理事を保護
トランプ大統領

トランプ大統領

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
トランプ大統領
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)議長にジェローム・パウエル氏を指名したのはトランプ大統領だ。だが、だからといって立法府の議会が設立した独立機関のトップであるパウエル議長を大統領が簡単に解任できるわけではない。

  ブルームバーグ・ニュースの先の報道では、トランプ大統領は最近、パウエル議長解任を側近と話し合った。しかし、大統領が実際に解任を目指すことになれば、厄介な法廷闘争に直面するとともに、それに敗れる可能性が高い。

  連邦準備法は「正当な理由」がある場合に限り、大統領はFRB理事を解任することができると規定している。これは理事でもあるパウエル議長にも当てはまる。また、米国憲法の下での立法府、行政府それぞれへの権限付与の仕組みや、立法と行政の分立に関する裁判所の判例によっても、パウエル議長の地位は守られている。

Federal Reserve Chairman Jerome Powell Holds News Conference Following FOMC Rate Decision

パウエルFRB議長

撮影:Andrew Harrer / Bloomberg

  恐らく最も重要なのは、「貨幣鋳造」と「その価値の規制」という憲法で定めた議会の権限の下で、責務実行の目的のために議会によって連邦準備制度が設立された事実にある。

  さらに、連邦準備制度の指導部を指名する権限が大統領に与えられていても、議会は指導部の地位について、上院による指名承認と任期という2つのさらなる保護を講じている。裁判所はこうした点に関し、大統領自身が指名した人物を解任する権限を制限することで、独立機関に一段の独立性を付与する目的があると解釈してきた。

  過去にFRB理事を解任しようとした大統領は皆無だ。それでも、仮に法廷闘争となった場合、パウエル議長がどのような保護を見いだすことができるか、幾つかの事案が参考となる。その中でも鍵となるのは、1933年にフランクリン・ルーズベルト大統領が連邦取引委員会(FTC)メンバーだったウィリアム・ハンフリー氏を解任しようとした際のものだろう。

  連邦最高裁はFTCが立法政策を実行する「準立法」機関であると認め、ハンフリー氏勝訴の判断を全員一致で下した。このような理由を基に、FTCを行政府の一部と見なすのは適切でないとしたのだ。

  連邦最高裁はその上で、行政府の支配からのFTCの独立はその指導部の任期によっても示されていると判断。ルーズベルト大統領は行政府の一部ではない機関の当局者であるハンフリー氏を解任する権限を有しないというものだった。

  このほか、連邦準備法にある「正当な理由」の規定を巡っては一般に、独立機関の指導部を解任しようとする場合、大統領は「非効率性や職務怠慢、不正行為」の証拠を示さなければならないと、裁判所は解釈してきた。

  連邦準備制度の法律顧問だったスコット・アルバレス氏は「正当な理由がある場合を除いて大統領が議長を含めFRB理事を解任することができないのは明らかだ。そして、正当な理由とは不正行為や犯罪活動または、その他の何らかの不品行であって、政策の違いを指すものではない」と指摘した。

原題:Trump Could Face Uphill Battle in Trying to Fire Fed’s Powell(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE