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トランプ氏の「米国第一主義」、マティス氏辞任で防波堤決壊

  • マティス氏の辞意表明、ホワイトハウスは混乱の極みに
  • マコネル上院院内総務も大統領の考えに疑問唱える

トランプ大統領の「米国第一主義」に厳然として反論できるマティス国防長官のような指導者を、世界はこの2年間、頼りにしてきた。その最後の防波堤がなくなる。

  トランプ大統領が矢継ぎ早に国外での米軍の役割を変える中に、マティス氏が突然の辞意を表明したことで、トランプ氏の好戦的で孤立主義的な衝動に歯止めをかけられる人が、政権内にいなくなるという不安が高まっている。

President Trump Receives Briefing From Senior Military Leaders

辞意を表明したマティス国防長官とトランプ大統領

写真家:Al Drago / Bloomberg

  すでに決壊は始まっている。トランプ氏は過激派組織「イスラム国(IS)」に対する勝利を一方的に宣言して米軍のシリア撤退を発表し、マティス氏辞任の引き金を引いた。アフガニスタンは和平交渉が行き詰まっているにもかかわらず、駐留部隊を半減させる。いずれも主要同盟国の部隊を戦場に取り残しても構わないというトランプ氏の意向を示唆している。

  米政界はホワイトハウスの混乱に慣れつつあったが、今週の展開にはトランプ氏から信頼されている政権幹部からも疑問の声が聞かれる。普段は大統領批判を控えている共和党のマコネル上院院内総務は、マティス氏の辞任について「心痛の思いだ」と発言。マティス氏は「誰が味方で誰が敵か、明確に理解する能力」があったと称え、「大統領が新たな国防長官を選ばなければならなくなったのは残念だ」と語った。

  トランプ政権は来年初め、ロシアと結んでいる中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄、一部諸国に対するイラン産原油禁輸免除の継続、ベネズエラをテロ支援国家のリストに加えるかなど、外交政策の重要決定が相次ぐ。これらの決定に、マティス氏辞任の影響が表れる可能性がある。

  オーストラリア国立大学で戦略研究を専門とするヒュー・ホワイト教授は、「米国の戦略的な役割について、マティス氏は米国の伝統的な価値観を代表する政権最後の人だった」と話す。「つまり、常軌を逸した政策決定が増えるということだ」と述べた。

原題:Mattis’s Exit Takes Leash Off Trump’s ‘America First’ Doctrine(抜粋)

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