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東京地検は日産ゴーン前会長を特別背任容疑で再逮捕、勾留継続へ

更新日時
  • 投資で生じた18億5000万円の損失負担義務を日産側に負わせた疑い
  • 日産側からデリバティブ契約移転の仲介者に金を振り込ませた疑い

東京地検特捜部は21日、金融商品取引法違反で逮捕、起訴していた日産自動車のカルロス・ゴーン前会長を特別背任容疑で再逮捕した。

Renault-Nissan-MMC chairman Carlos Ghosn Signals He'll Keep Leading the Alliance

カルロス・ゴーン前会長

Photographer: Junko Kimura-Matsumoto/Bloomberg

  地検の発表資料によると、ゴーン容疑者は自身の資産管理会社と銀行との間のデリバティブ取引の契約で多額の評価損が生じたため、自己の利益を図るために2008年10月に契約者を日産に移転させ、約18億5000万円の評価損を日産に負担する義務を負わせた疑いがある。

  さらに、この契約を仲介者の助けを借りて資産管理会社に再移転する際に、自身や仲介者の利益を図る目的で09年6月から12年3月まで4回にわたり、日産の子会社の預金口座から仲介者が経営する会社の口座に計1470万ドル(現在のレートで約16億円)を振り込ませるなど、日産の経営トップとしての任務に背き同社に財産上の損害を与えた疑い。

  日産関係者は匿名を条件に、特別背任容疑の一部については取締役会やルノー側に提示された社内調査には含まれておらず、再逮捕は同社内で驚きをもって受け止められたと話した。その上で、今後の取り調べの進展にあわせてさらにあらたな事実が発覚する可能性があるとの見方を示した。

  日産広報担当のニコラス・マックスフィールド氏は東京地検の決定であり、日産としてはコメントする立場にないとした上で、社内調査は継続中で調査対象の範囲を拡大させていると述べた。ゴーン前会長の弁護人を務める大鶴基成弁護士は特別背任容疑での再逮捕についてコメントを控えた。一方、テレビ朝日は特捜部はゴーン容疑者の自宅を家宅捜索したと報じた。

海外滞在で時効不成立か

  元検事の高井康行弁護士は今回の案件について、本来は時効となるがゴーン容疑者は海外滞在が長いために時効にはならないと指摘。「証拠がはっきりしており、筋としても相対的にはいい筋だということで、この事案を選んだのだろう」と述べた。今後の捜査については「会社に損害が発生しているかに加えて、ゴーン容疑者が自分のために行ったのか、会社のために行ったのかの2点が焦点になる」という。

  有価証券報告書に報酬を過少に記載したとしてゴーン前会長と同時に逮捕、起訴されていたグレゴリー・ケリー前代表取締役をめぐっては、東京地裁が20日に東京地検から出された勾留延長請求を却下したことで保釈される可能性が高まっていた。ゴーン容疑者は再逮捕により勾留期間が延びることになる。

  東京地裁の発表によると、ケリー容疑者の弁護人からは保釈請求があった。ロイター通信はケリー容疑者の弁護士の発言として、21日の保釈はないとし次の保釈の可能性は早くても25日になる見込みだと伝えた。

  東京地検の久木元伸次席検事は記者会見で、特別背任の犯罪に当たると判断したと述べたが、容疑の詳細や日産が被ったとされる損害額の合計などについてはコメントを控えた。

3回目の逮捕

  これまでゴーン被告は、11年3月期からの5年間、役員報酬の合計を実際よりも約49億円過少に記載した有価証券報告書を提出したとし金融商品取引法違反で東京地検に逮捕、起訴されていた。12月10日には18年3月期までの直近3年間についても約43億円過少に記載したとして同容疑で再逮捕されており、今回の逮捕で3回目となる。東京地検は2回目の逮捕の件ではゴーン、ケリー両容疑者を起訴しておらず、処分保留の状態という。

  11月27日付の朝日新聞はゴーン容疑者が08年に私的なデリバティブ取引で受けた約17億円の損失を日産に付け替えていた疑いがあることがわかったなどと報じていた。大鶴弁護士は同容疑者が私的な投資損失を日産に付け替えた疑いがあるとの報道についてそのような事実はないと否定していた。

  高井弁護士は「特別背任の容疑で立件しようという意気込みで、特捜部が当初から捜査をしていたことは間違いない」と指摘する。検察としては勾留延長請求が認められていれば、さらに10日間特別背任の捜査について内偵ができたはずだったが、延長請求の却下によって「捜査スケジュールはかなりタイトになった」との見方を示す。 

(日産関係者のコメントなどを追加して記事を更新します.)
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