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来年度予算100兆円超え-消費増税対策へ大盤振る舞い、財政再建遠く

更新日時
  • 財政収支赤字はわずかに改善も長期債務残高は過去最高を更新
  • 「国債発行を圧縮するために無理している印象」-SMBC日興証券
relates to 来年度予算100兆円超え-消費増税対策へ大盤振る舞い、財政再建遠く
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

政府は21日、2019年度一般会計予算案を閣議決定した。総額は101兆4564億円と初めて100兆円台に乗り、過去最高を記録した。社会保障費の自然増に加え、消費増税に備えた2兆円規模の景気対策で歳出が急増。増税や景気回復による税収増を反映して税収が29年ぶりに過去最高を更新し、新規国債発行額も抑制したが、財政再建の道のりは遠い。

  政府は来年10月に予定している消費税率引き上げ(8%から10%)に伴い、5.2兆円の負担増が生じると試算。安倍晋三首相は景気の腰折れを回避するためあらゆる施策を総動員する姿勢を示していた

  来年度予算では「臨時・特別の措置」として、一般歳出に消費税対策費2兆280億円を上乗せする。具体的にはキャッシュレスのポイント還元(2798億円)やプレミアム商品券(1723億円)など。相次ぐ自然災害を受けた防災・減災のための国土強靱(きょうじん)化策として1兆3475億円も計上する。幼児教育の無償化や社会保障の充実による3.2兆円程度の支援策などを加えると、負担増分を上回る。

  これによって一般歳出は61兆9632億円と前年度当初を大幅に上回る。うち6割近くを占める社会保障関係費や防衛関係費はいずれも過去最高を更新。公共事業関係費は09年度の7.1兆円以来、10年ぶりの高い水準となる。

歳出2019年度18年度当初比
国債費23兆5082億円 0.9%増
一般歳出
(社会保障関係費)
(公共事業費)
(防衛関係費)
61兆9632億円
34兆587億円
6兆9099億円
5兆2574億円
 5.2%増
 3.2%増
 15.6%増
   1.3%増
地方交付税交付金15兆9850億円 3.0%増
101兆4564億円 3.8%増

  
  大和総研の鈴木準政策調査部長は、来年度予算が消費税対策で「大きく見えるのは仕方がない」とした上で、「問題は消費税対策を本当に一時的に終わらせることができるのかどうかだ」と指摘。海外経済の鈍化に加え、国内の景気回復は長期化しており「どこかで何らかの調整がある」と予想、今回の歳出増を支える税収の伸びについて、「いつまでも非常にスピード速く税収が伸びるわけでもない」と述べた。

  歳入面では税収62兆4950億円を見込む。過去最高だった1990年度の60.1兆円(実績)を上回る。税外収入も預金保険機構の利益剰余金8000億円を中心に積み増した。これに伴い、国債発行額は前年度比1兆324億円を削減し、9年連続で減額。国債依存度は32.2%程度と08年度(30.5%)以来の水準に改善した。

  麻生太郎財務相は21日の閣議後会見で、全世代型の社会保障制度への転換に向けた幼児教育の無償化の実現や消費税の税率引き上げによる経済への影響の平準化など「重要課題に的確に対応するものとなった」と語った。さらに、国債発行額も約1兆円削減でき、「経済再生と財政健全化の両立を図れた」と評価した。

税収は過去最高の62.5兆円へ

消費増税寄与、基幹3税そろって伸びる

出所:財務省

  国債費を除く一般歳出と国債収入以外の歳入を差し引きした基礎的財政収支(PB)の赤字額も前年度に比べて1.2兆円縮小し、9.2兆円に改善した。しかし、財務省は、政府が目指す25年度の黒字化の達成は容易ではないとの見通しを示している。国・地方を合わせた政府の長期債務残高も対国内総生産(GDP)比198%の1122兆円程度と過去最高を更新した。

歳入2019年度18年度当初比
税収
(消費税)
(法人税)
(所得税)
62兆4950億円
19兆3920億円
12兆8580億円
19兆9340億円
 5.8%増
 10.4%増
 5.7%増
 4.8%増
その他収入6兆3016億円 27.5%増 
国債
(赤字国債)
(建設国債)
32兆6598億円
25兆7078億円
6兆9520億円
 3.1%減
 6.8%減
 14.1%増

  SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、来年度予算について税外収入の積み増しや強気の税収見通しで「国債発行を圧縮するために無理している印象だ」とし、そのツケは19年度補正以降の赤字国債増発やPB悪化につながると予想。予算の大盤振る舞いが悪しき前例になると懸念するとともに、金融緩和政策による低金利で財政への関心が薄くなっていることが根底にあると問題視している。

 

(7段落目に麻生財務相の閣議後会見での発言を追加して更新します.)
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