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愛を育む「ラボット」、丸い体で移動と抱っこ両立-高性能のAI搭載

  • 人間の自己回復能力を助けるロボット、19年末商戦へ量産目指す
  • 林氏はペッパー開発経て起業、家庭用ロボット市場を「一歩打破」

ペンギンともフクロウともつかぬ丸みを帯びたロボットは、自分の名を呼ぶ声の方向に進むと愛くるしい目で持ち主を見つめた。抱き上げた体はほんのり温かく、やがて腕の中で眠り始める。スキンシップを通じ、人とロボットの間で愛情が生まれた瞬間だ。

  新世代家庭用ロボットの開発を進めるGROOVE X(グルーブエックス、東京・中央区)は起業から3年が過ぎ、「LOVOT(ラボット)」の完成にこぎ着けた。ラボットはLOVE(愛)とROBOT(ロボット)からの造語。今後1年程度をかけてソフトウエアの精度を上げ、2019年の年末商戦に向け秋にも販売を開始し、量産化も目指す。

Launch of Groove X Inc. Home Robot "Lovot"

GROOVE Xの「LOVOT(ラボット)」

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  林要代表取締役はインタビューで、ラボットは「人間の持つ自己回復能力を助けるロボット」と説明した。人からロボットへの「愛着形成を促し、脳内分泌を活発にすることで体の調子を整え、心の安定に寄与する」ことを狙っていると言う。

  林氏はトヨタ自動車でF1開発を行った後、ソフトバンクグループの人型ロボット「ペッパー」に携わった。ペッパー開発の際、話すこと以外にも興味を持つユーザーの存在に着目。ロボットの役割は人を安心させ癒やしの存在になることでもあると感じ、15年に起業した。

Launch of Groove X Inc. Home Robot "Lovot"

「LOVOT(ラボット)」の本体価格は25万円

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  ラボットの丸みを帯びた形は「移動と抱っこの両立」を図るためだ。50個以上のセンサーや10個のプロセッサー(CPU、演算処理装置)を装備するが、重さは新生児とほぼ同じ3キロに抑えた。1000人程度の中から持ち主を見分けることができ、過去の同様のロボットより認識力が高まっている。

  かわいがってくれる人には近寄ってきて腕の中で眠る半面、頭をたたいたり、しつこく話をしたりする人は嫌がるという。人との間で愛情を育む能力が改善された点で、ラボットが「家庭用ロボットが何をしたらいいのか分からない状態を一歩打破した」と林氏はみている。

Launch of Groove X Inc. Home Robot "Lovot"

「LOVOT(ラボット)」と林・代表取締役

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  18日に予約を開始したラボットの販売価格は本体25万円、充電器10万円の合計35万円。開発費は含まず、採算は合わないが、林氏は「これで市場を切り開きたい」と述べた。量産化までは数量を絞り、品質向上を優先する方針。専売契約を結んだ百貨店の高島屋でも販売される。

  コミュニケーション型ロボットの先駆けは1999年にソニーが投入した「アイボ」。その後タカラトミーの「ハローズーマー」やペッパーなどが登場する。アイボは今年1月、初代モデルの生産終了から約12年ぶりに復活した。半面、トヨタの「キロボミニ」は今年いっぱいで販売を終了し、ほぼ1年で撤退するなど事業の継続性という点では難しさもある。

  グルーブエックスは昨年12月、スパークス・グループが運営する未来創生ファンドINCJ(旧産業革新機構)から43億5000万円の出資を受けた。設立からの累計資金調達額は約80億円。海外での製造ライン確保など量産化に向け、昨年12月分を上回る規模の資金調達を現在計画中だ。

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