日産、ガバナンス強化へ改善特別委設置ー後任会長は先送り

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  • 委員長には元裁判官の西岡弁護士が就任、来年3月末めどに改善策
  • 法人としての日産も起訴、社内からは西川社長の責任論も浮上

日産自動車は17日、有価証券報告書に報酬を過少に記載していたとして起訴されたカルロス・ゴーン前会長をめぐる問題を踏まえ、ガバナンス(企業統治)改善特別委員会を設置すると発表した。一方、後任会長の人事は候補が決まらず、先送りとなった。

  日産の発表によると、同委は今回の問題の原因解明を行った上で、日産の取締役報酬の決定方法などガバナンスの改善策を提言。委員長には元裁判官で会社法を含むガバナンス問題に詳しい弁護士の西岡清一郎氏が就任。委員は前経団連会長の榊原定征氏や日産の社外取締役など計6人が務める。来年3月末をめどに同委からまず報酬決定の方法についての改善策を受け取る予定としている。

  後任の会長については社外取締役3人でつくる委員会の協議で現取締役の中から候補を提案する方向で調整していたが、17日開催の取締役会で同委から継続協議するとの報告を受け、了承したという。

  日産の西川広人社長は横浜市内での会見で、後任会長はガバナンス委の提言を踏まえた任命が望ましいと述べた。ルノーが求めている臨時株主総会についても、「ガバナンス委の提言を踏まえて開けることがベスト」と述べた。共同通信は、日産が早期の臨時株主総会開催を拒否していたと、関係者を引用して報じた。

  日産、ルノーとアライアンスを組み、11月にゴーン前会長を解職した三菱自動車も同日、取締役を開催。益子修最高経営責任者(CEO)は当時の自社の決定について「妥当だった」と話し、前会長の不在により「全く業務に支障出ることはない」と述べた。3社による会議を18、19日に開催するが、通常業務に関するものでアライアンスの枠組みを議論する場ではないとした。

年明けに初会合も

  2015年に企業の不正防止と競争力強化に向けたコーポレートガバナンスコードの運用が始まって以来、日本企業の多くが社外取締役の採用を進めると同時に社外取締役からなる委員会設置会社に移行。取締役の選任や解任議案を決める指名委員会や役員報酬を決める報酬委員会を設置してきたが、日産はそのどちらにも対応していなかった。

  報酬委員会を持たない日産は、取締役会議長が第三者の報酬ベンチマークなどを参考に、代表取締役と協議の上、役員報酬を決定すると有価証券報告書に記している。昨年8月時点で、同コードが「2人以上選任すべき」とする独立社外取締役を採用していないグローバル企業はTOPIX採用500社のうち日産1社だけだった。

  事情に詳しい関係者によると、ガバナンス委の最初の会合は年明けになりそうという。また、同日の取締役会ではルノー側の取締役から決議事項に対する反対意見はなかったという。

日産自動車の本社ビル(横浜市)

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  日産は11月22日の取締役会で、東京地検特捜部に逮捕(のちに起訴)されていたゴーン被告の会長職を解職。社外取締役の豊田正和氏(経済産業省出身)、井原慶子氏(レーサー)、ジャンバプティステ・ドゥザン氏(仏ルノー出身)がガバナンス強化の具体策や後任会長候補の人事案などを協議していた。

  一方、ルノーはこのほど開催した取締役会でゴーン最高経営責任者(CEO)の留任を決定した。内部調査の結果、同社での報酬は法に準拠していると判断したという。また、ルノーは日産に対し、できるだけ早期の株主総会実施を要請した。1990年代後半に経営危機に陥った日産にルノーが出資して以来、約20年にわたって友好的な関係を築いてきた両社間の溝が深まっている。

  東京地検は11月19日にゴーン前会長とグレゴリー・ケリー前代表取締役を金融商品取引法違反容疑で逮捕、今月10日に同罪で2人と法人としての日産を起訴した。関係者によると、法人としても起訴されたことで、日産のガバナンスをめぐる西川社長の責任を問う声が社内から出ており、経営を担い続けることを疑問視する見方も出ているという。

(日産が臨時株主総会の早期開催を拒否している情報を第4段落に追加します.)
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