長期金利目標の引き上げ予想が後退、12月会合は無風-日銀サーベイ

  • 19年後半に景気後退陥る可能性は低くない-BNPパリバ証・河野氏
  • 日銀は景気後退なら緩和のふりするしかない-東短リサーチ・加藤氏
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

世界的に金融市場でリスク回避の動きが強まる中、日本銀行が長期金利目標を早期に引き上げるとの見方が後退していることがブルームバーグの調査で分かった。19、20両日の金融政策決定会合については、調査対象のエコノミスト49人全員が現状維持を予想した。

  10-13日に実施した調査によると、2019年末までに0%程度の長期金利目標を引き上げるとの予想は6人(12%)と、前回10月調査(22%)から低下した。短期政策金利のマイナス金利を引き上げるとの予想も7人(14%)と前回(22%)から低下した。世界経済の先行き不透明感の強まりから株価が乱高下し、長期金利が低下していることを受け、日銀の金融政策正常化への期待も沈静化していることが確認された。

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  政府・与党は19年10月の消費増税に向けてさまざまな対策を打ち出しているが、日銀の正常化に及ぼす影響については「何とも言えない」との回答が23人(47%)、正常化の「助けにならない」との回答が16人(33%)だった。

  12月調査の企業短期経済観測調査(短観)で大企業・製造業の業況判断DIがプラス19と横ばいにとどまったが、先行きは米中貿易摩擦などへの懸念から悪化した。エコノミストの間でも景気後退を意識する向きが増えている。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、世界経済の減速を背景に輸出は足踏みし、個人消費もさえないと指摘。非製造業の建設投資に頭打ちの兆候が見られ、外需の軟化や貿易戦争を巡る不確実性の高まりの影響が今後「製造業の設備投資にも徐々に表れてくる」とした上で、「19年後半に景気後退に陥る可能性は低くない」とみる。

  政府・与党はキャッシュレス決済に対する5%のポイント還元や住宅ローン減税の延長など、各種の消費増税対策を打ち出している。茂木敏充経済再生担当相は12日の講演で、14年の前回増税以上の対策を確実に行うと言明した。

  三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、「一定の効果はある」としながらも、需要を完全に平準化することは難しく、「増税後の一時的な需要の後退は覚悟せざるを得ない」と指摘する。大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、増税前の駆け込み需要が7-9月期に出過ぎると「そこが景気のピークになる可能性は残る」とみる。

景気後退に陥ったら

  景気後退に陥った場合、どのような緩和手段が残されているかエコノミストに聞いたところ、「有効な手段は乏しい」(日本総合研究所の牧田健チーフエコノミスト)といった声が圧倒的だった。クレディ・アグリコル証券の森田京平チーフエコノミストは、「論理的に説明可能でかつ法的に実施可能、かつ経済的に副作用が小さい策は日銀には残されていない」と指摘する。

  シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは、「日銀は『緩和手段がなくなった』とは口が裂けても言えないため、何らかの緩和措置を実施することになろう」と予想する。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、世界で最も緩和策の発動余地がない中央銀行は日銀であり、今のまま景気後退を迎えたら「細かい技術的な『緩和のふり』を示すしかないだろう」とみる。

  そうした中、比較的多かったのが指数連動型上場投資信託(ETF)の拡大。黒田東彦総裁は10日の国会答弁で、日銀のETF購入が個別銘柄に大きな影響を与えているとの批判に対し、株式市場関係者の「セールストーク」と切り捨てた。野村証券の松沢中チーフマクロストラテジストは、「政策金利下げ、国債買い増しの選択肢がなく、結果的にETF買い増しに動く」と予想している。

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