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自動車は「保有から利用」の時代へ、税制も改革検討-与党大綱

更新日時
  • EVやカーシェア普及が背景、議論は来年度以降に
  • 消費増税後に自動車税を恒久減税、住宅ローン減税延長

政府・与党は2019年度以降、国内総生産(GDP)の約1割を占める自動車産業に関連した税制改革の検討に着手する。電気自動車(EV)やカーシェアリングの普及が今後見込まれ、従来の自動車の保有やガソリン車の排気量に基づく課税方式では大幅な税収減が避けられないためだ。本格的議論は来年の統一地方選や参院選後となる。

  14日に決定した与党税制改正大綱によれば、技術革新や「保有から利用への変化」など自動車を取り巻く環境の変化を踏まえ、国・地方財源の安定的確保に向けて課税の在り方を中長期的視点から検討することを明記。19年度税制改正では、来年10月以降に登録する新車を対象とした恒久的な自動車税引き下げなどの消費増税対策を盛り込む。

  自動車は現在、取得時(取得税)や保有・利用時(自動車税、重量税)にかかる車体課税と揮発油税などの燃料課税があり、18年度の自動車関連税収は8兆3521億円と、国・地方を合わせた税収の8%に上る。ただ、税率の上がった消費税を除く車体課税や燃料課税は漸減しており、税収に対する割合も10年前の11%から低下した。

自動車関連税収、消費税除き漸減傾向

税収に占める割合は3%ポイント低下

出所:日本自動車工業会、財務省、総務省

  自民党税制調査会の額賀福志郎小委員長は来年度の税制議論開始時に、自動車業界は自動化や電気自動車などで転換期を迎えているとし、「所有から利用へ経済の理念が変わりつつあり、利用に自動車税の対象を絞っていく必要がある」として「走行課税」に関する議論を喚起。経済財政諮問会議の民間議員を務める日本総研の高橋進名誉理事長も、今年の骨太方針の議論の中で自動車関連税など社会構造の変化に合わせた抜本的な税体系の見直しも検討すべきだとの考えを示していた。

  みずほ総合研究所の野田彰彦上席主任研究員は、「カーシェアリングが広まると車の販売台数が減り、車の台数や大きさ、排気量に合わせた税体系だと税収も減っていく」とし、それを避けるために走行課税などで「安定的な税収が確保されるような仕組み」にしていくとの見方を示した。ただ産業構造の変化に伴う税制改正は自動車だけでなく、「デジタルエコノミーが発達していくので、そういう事業者にどのように税の網をかけていくのかが大きな課題」と指摘する。

Park24 Chief Executive Officer Koichi Nashikawa Interview

普及が進むカーシェアリング

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  産業構造の変化や新たなビジネスの台頭に伴う税制改正議論は始まりつつあるものの、社会の在り方に合わせた税制改革は議題に上りながらも、据え置かれたままだ。来年度の税制改正も、10月の消費増税に伴い駆け込みや反動減といった需要変動を平準化する措置として自動車と住宅に関する税制見直しに終始。財政健全化に向けた税収調達機能の強化は進んでいない。

  日本総研の西沢和彦主席研究員は、自動車税制の時期について、「税の議論を本格的にすると、誰かの負担を確実に増やす話になるので、選挙前に誰かの負担増になるような話はしない」とし、来年の統一地方選や参院選を終えてから議論を開始するという意味だろうと推測する。ただ「本当は選挙の時に負担の話をしないといけない」と釘を刺す。

  今後の税制改正議論については、今日の働き方、家族形態、貧困問題などを踏まえて所得税の諸控除を変更したり、国際競争力に直結する法人税率引き下げや、その代替財源として消費税引き上げなど、税体系を見直しながら税収を増やしていくような議論をする必要があると指摘した。

19年度の税制改正の主な項目
  • 来年10月以降登録の新車は保有時に毎年かかる自動車税を恒久的に減税、購入時の燃費課税「環境性能割」は1年間の軽減措置
  • 来年10月以降に住宅ローン減税の控除期間を3年間延長
  • ベンチャー企業の研究開発費の控除上限を引き上げ
  • 企業が国外に支払った利子を損金算入できる上限を引き下げ
  • ふるさと納税を提供する自治体に基準、返礼品は地場産品、返礼品割合を3割以下
  • 地方法人課税の偏在是正
今後の検討事項
  • デリバティブを含む金融所得課税のさらなる一体化
  • ゴルフ場利用税は今後長期的
  • 軽減税率の対象品目に書籍・雑誌等について検討
(与党の正式決定を受け、見出しと第2段落の表現を変えて更新しました.)
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