日銀短観:大企業製造業の景況感横ばい-貿易摩擦で先行き悪化

更新日時
  • 大企業・製造業がプラス19と前回調査と同じ-好業績が下支え
  • 非製造業はプラス24と2ポイント改善-為替想定は109円41銭

日銀の黒田総裁

Photographer: Bloomberg/Bloomberg
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日本銀行が4半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(短観)の12月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回9月調査から横ばいとなった。高水準の企業収益が続いていることが企業の景況感を下支えしたが、先行きは米中貿易摩擦への懸念から悪化した。

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス19と前回調査と同じーブルームバーグ調査の予想はプラス18
  • 非製造業はプラス24と2ポイント改善-予想はプラス21
  • 先行きは製造業がプラス15、非製造業はプラス20と共に悪化を見込む
  • 2018年度の為替想定は1ドル=109円41銭と前回(107円40銭)から円安方向に設定

 

  
エコノミストの見方

第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト:

  • 業況判断DIは良くもないが、悪くもない。一部で景気後退懸念もあったが、一応は踏みとどまっている。改善のペースは以前に比べ落ちているので、足踏みというか、減速というか、微妙なところ。特に悲観する必要はないが、引き続き警戒は必要だ
  • 設備投資は過去と比べても強い。18年度は大丈夫だが、19年度は世界経済の不透明感が強いことから鈍化してもおかしくない。足元の設備投資が強いことは一安心だが、先行きを楽観することはできない。短観は金融政策に対しては中立的な内容だった

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト:

  • 発表後のリポートで、企業の景況感は「足元ではなお底堅い」が、実体経済と金融市場の両面でグローバルに環境が悪化してきているだけに、今回の短観は「業況判断DIの先行きの悪化の方をより重視して受け止めるべきだ」と指摘
  • 設備投資はしっかりしているが、「19年には投資手控えが広がる可能性がある」とした上で、19年は景気下押し材料が内外で幾つもあるため、企業としては「警戒感・慎重姿勢を強めざるを得ない」としている

詳細

  • 18年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比14.3%増-12月調査としては1990年以来の水準
  • 大企業・製造業で海外需要が弱っているとの声が一部で聞かれる一方で、天候要因や災害後、需要が戻ってきているとの声が聞かれた-日銀調査統計局
  • 大企業・製造業の先行きについては貿易摩擦を懸念する声が聞かれた-日銀調査統計局
  • 18年度の全規模・全産業の当期純利益は4.1%増と、前回9月調査から4.6%上方修正された

背景

  • 7-9月の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率2.5%減と設備投資を中心に速報値(1.2%減)から下方修正された。自然災害の影響が強く、10-12月はプラス成長に戻るとの見方が強いが、世界経済の動向次第で反発力が鈍くなるリスクもある
  • 政府は11月の月例経済報告で、国内景気は「緩やかに回復している」との判断を維持したものの、通商問題の動向が世界経済に与える影響や海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響などに「留意する必要がある」との姿勢を示した
  • 黒田東彦総裁は6日の国会答弁で、「海外経済を巡る不確実性が増している」と指摘。「最も大きなリスク」は貿易摩擦のアジア、世界経済への影響で、「深刻化する恐れもある」と述べた。その上で、海外経済を巡るリスクを注意深く点検し、「必要に応じ適切な対応を取っていきたい」と語った
(エコノミストコメントを差し替え、発表内容を追加して更新しました.)
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