FRB資産に665億ドルの含み損、トランプ氏が攻撃材料にする恐れ

  • 未実現の損失、9月30日の時価基準で純資産を大きく上回る
  • 信頼性というFRB最強の資産を脅かす-ウォーシュ元理事
The Marriner S. Eccles Federal Reserve building stands past passing vehicles in Washington, D.C. Photographer: Andrew Harrer/
Photographer: Andrew Harrer/

米連邦準備制度理事会(FRB)が抱える4兆1000億ドル(約465兆円)規模の債券ポートフォリオで、未実現の損失が積み上がっている。独立した中央銀行にとって政治的に穏やかではない空気が漂う中、その財政の健全性が問われるリスクがある。

  最新の四半期報告によれば、FRB保有証券の含み損は9月30日の時価基準で665億ドルだった。純資産の391億ドルを大きく上回る事実上の債務超過であり、普通の企業であれば財務の脆弱(ぜいじゃく)性として受け止められるのは間違いない。

  当然ながら、FRBは普通の銀行とは異なり、保有資産を時価会計で処理しない。従って当局者らは理論上の損失が持つ意味を重視せず、「特異な非営利機関」として金融政策を運営、もしくは財務省に利益を納付する能力に影響はないと主張する。実際にFRBは今年1-9月、516億ドル以上を財務省に納付した。

  それでもトランプ大統領が、中国という貿易戦争の敵よりFRBの方が大きな問題だと批判する現状において、FRBの財政悪化という認識が広がるのであれば、議会や国民に対する立場を悪くするリスクがある。

  ケビン・ウォーシュ元FRB理事は「中央銀行が債務超過になっても、理論上は問題にならない」と指摘する。「しかし実際には、信頼性というFRB最強の資産が目減りするリスクを冒す」と電子メールでコメントした。

  FRBはバランスシートの将来を議論し始めたばかりであり、含み損は量的緩和やそれを支える枠組みを批判する向きに、攻撃材料を与えることにもなり得る。表面上とは言っても赤字になっていることは、将来に景気が悪化した際に当局が量的緩和を再開するのを、政治的に一層困難にする恐れがある。

時価基準でみたFRBの保有債券

出所:FRB

原題:Fed Piles Up $66 Billion in Paper Losses as It Faces Trump Wrath(抜粋)

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