メイ英首相が離脱案採決を延期-合意なき離脱の可能性高まる

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  • 大差否決の見通しに屈す-今後の採決時期は明言せず
  • メイ首相はEU首脳会議で「保証」を取り付ける意向
Photographer: TOLGA AKMEN/AFP
Photographer: TOLGA AKMEN/AFP

メイ英首相は10日、欧州連合(EU)と合意した離脱案が大差で否決されるとの見通しを受け、下院で11日に予定していた議会採決の延期を発表した。週内にEU首脳会議が行われるブリュッセルを訪れ、バックストップ条項によりEUの規則に無期限に縛られる事態の回避に向け、EU各国首脳から「保証」を取り付ける意向だと表明した。

  首相の発言からは内容の大幅修正は期待していないことが示唆された。今後の採決時期についての質問に首相は答えなかった。

EU離脱案の議会採決延期を発表したメイ首相

Source: Bloomberg)

  EUは再交渉には応じない姿勢を明確にしており、メイ首相は事実上何も変わっていない離脱案を手に来年1月に議会採決に臨む可能性が高い。首相が頼りにするのは、相場が下落し、合意なき離脱に向かうことへの恐怖感から議会がメイ首相の離脱案を支持せざるを得ないという状況だ。

  ブリュッセルではEUのトゥスク大統領(常任議長)が英国の離脱を話し合う首脳会議を13日に招集するものの、合意案の再交渉は行わないと明言。同大統領はツイッターへの投稿で、「われわれは合意の再交渉は行わない。しかし批准をいかにうまく進めるかを議論する用意はある」と述べた。

  メイ首相は11日にオランダのハーグで同国のルッテ首相と会談する。その後もEU加盟国を訪れて首脳と会談し、離脱案の議会通過のための支援を求める予定だ。
  
  メイ首相は、来年3月29日に合意が成立しないままEUを離脱する事態に備え、政府として準備を加速させると語った。

  市場は合意なき離脱の可能性が高まったと判断し、ポンドの対ドル相場は一時、2017年4月以来の安値となった。メイ首相は議員からいつ採決を行うかと問われると、来年1月21日は合意が取りまとまらない場合どうするかについて政府が議会に報告するよう定められた日であるため、期限だと答えるにとどめた。

  11日夜の採決を見込んでいた英議員らは、同日午後にメイ首相の採決延期の決定について緊急討議を行うことになった。

  最大野党・労働党のコービン党首は採決延期について、メイ首相が議会を「軽視」している証しだと批判した。3時間予定される11日の緊急討議は、各議員が憤りを表す場になる見通し。仮にこの場で採決が行われたとしても政府を拘束しない。
  
  ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、ケネス・ブルックス氏は「最悪のケースは1月21日まで採決が行われないことだ」と述べ、採決まで長引くほどポンドの下落が大きくなる可能性が高いと指摘した。

原題:May Kicks Brexit Can Down the Road, Raises Risks of No Deal (1)(抜粋)

(英議会の討議などの情報を追加して更新します.)
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