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来週の米利上げほぼ確実も、雇用統計受け来年に向けて議論白熱か

  • 11月の雇用統計では雇用者数と賃金の伸びが予想下回る
  • 現行路線の維持、ハト派的利上げ、予想外の据え置きの3シナリオ
Views Of The Federal Reserve Ahead Of Federal Open Market Committee Announcement

Photographer: Andrew Harrer / Bloomberg

Views Of The Federal Reserve Ahead Of Federal Open Market Committee Announcement

Photographer: Andrew Harrer / Bloomberg

7日に発表された11月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加幅が予想を若干下回った。米金融当局が今年4回目の利上げを決める見通しに変化はないが、同統計を受けて18、19両日の連邦公開市場委員会(FOMC)は一段と興味深いものとなる。

  金利先物の相場動向を踏まえると、投資家が織り込む来週のFOMCでの利上げ確率は70%を上回っている。このため利上げが見送られた場合、金融当局者が公に認めているよりもずっと景気に懸念を抱いているのではないかとの警戒感が金融市場に台頭しかねない。

  さらに、金融当局が市場の予想に反して金利据え置きを決めた場合、利上げを繰り返し批判しているトランプ大統領の政治的圧力に屈したとして、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が非難を浴びる事態も想定される。

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  11月の雇用統計は引き続き健全な労働市場を裏付ける内容ではあったが、雇用者数に加え賃金の伸びも予想を下回っており、当局者はこれらの点について何らかの考察を加える可能性がある。FOMCで討議される可能性のある3つのシナリオを次に列挙する。

現行路線の維持

  7日発表の統計によっても、金融当局の見通しにほとんど変化はない。11月の非農業部門雇用者数の伸びは15万5000人と、今年に入ってからの平均である20万6000人よりは少なめだったものの、失業率を持続可能な水準に安定的に保つのに必要と大半のエコノミストが考える数値は大きく上回った。

  金融当局者は19日の会合終了後に最新の経済予測を公表する予定で、見通しに変化がないのであれば、来年について想定している金利の道筋を著しく変更する理由はほとんどないだろう。

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パウエルFRB議長

写真家:Andrew Harrer / Bloomberg

  雇用統計を見る限り、インフレ高進を示唆する要素は皆無であり、金融当局も2%の目標前後での安定的な物価上昇を見込んでいる。同様に、失業率も3.7%と前回のFOMCの際と変わりがなく、短期的な失業率推計も据え置くことができそうだ。

  パウエル議長は6日夜の講演で、米労働市場は「極めて力強い」との認識を表明。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は4日、米経済を軌道に保つため、政策金利の「さらなる漸進的な引き上げ」が必要になると予想すると話していた

ハト派的利上げ

  金融当局者は19日に利上げを推し進めると同時に、その後、どの程度積極的に利上げを継続するかについて、市場の予想を抑えることもあり得る。

  ノーザン・トラストのチーフエコノミスト、カール・タネンボーム氏は「われわれが『ハト派的利上げ』と呼ぶような利上げを当局が行うかどうかが焦点だ」と指摘。「先行きの見通しに多少の戸惑いを示したり、次回の利上げを検討するまでにもう少し待ちたい姿勢を見せたり」することで「ハト派的利上げ」ができるという。

  具体的にはまず、FOMC声明で金利の「さらなる漸進的な引き上げ」への言及を削除することが考えられる。このほか、経済はまだ力強いが雇用の伸びは鈍化し始めた点を強調するため、景気分析に関する文言を調整することも可能だろう。

  金融当局者の間に実際にハト派的なムードが広がっているのであれば、このところの声明で「おおよそ均衡」しているとしてきた経済見通しへのリスク判断を、下方に傾いたと明言することもできる。中道派を中心に、数人の当局者が19、20両年の利上げ回数見通しを下方修正すれば、力強いシグナルをもう1つ発することになる。

  最後に、パウエル議長はFOMC後の記者会見で自身が望むどのような方向にも市場の期待を誘導することが可能だ。パウエル議長は最近まで、「類いまれ」で「著しく前向きな」経済について語ってきた。こうした前言から後退し、金融当局が政策面で不確実な局面に入りつつあると強調することもでき、究極的には、利上げを実施したのと同じ日に金融状況の緩和をもたらすことも可能なのだ。

想定外の据え置き

  投資家はこれを想定してしないし、金融当局者もそのようなシグナルを送ってはいない。ただし、金融当局者が据え置きを決めた場合、その決定を擁護するのは容易だろう。

  インフレ加速の脅威は見られず、ちょうど当局目標の2%の水準にある。さらに、過去数十年ぶりの低失業率にもかかわらず、なぜ物価上昇の勢いに乏しいのか金融当局者にも理由が分からないように見受けられる。

  FRBのクラリダ副議長は3日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「この数十年にわたり、ディスインフレの方に力が傾いている。連邦準備制度を含め、世界各国・地域の中央銀行はディスインフレを遠ざけることに注力している」と話した

  基調的なトレンドを捉えるダラス連銀算定のインフレ指標を見ると、3カ月連続で小幅鈍化している。

  据え置きを決めれば、金融当局者には米中通商対立や欧州の景気減速の推移に加え、金融状況引き締まりの経済へのインパクトと、その雇用への影響を検証するための一層の余裕が生じる。

  一方で、金利据え置きの場合、多くの課題が伴う。投資家は既に経済見通しに懸念を抱いており、据え置きなら一段と動揺が強まる恐れがある。パウエル議長がトランプ大統領に屈したように見えるのも問題だ。当局が公表する経済予測で来年の追加利上げ予想が引き続き示されれば、パウエル議長は記者会見で、何が引き締め再開の引き金となるのか説明しなければならないだろう。

原題:Fed Still on Track for Hike as Jobs Data Deepen 2019 Rate Debate(抜粋)

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