「マッドドッグ」だけが残った-発足時から一変のトランプ政権

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  • 対ロシア巡り米予算増強に寄与したマティス長官をNATOは信頼
  • マティス長官は北朝鮮の核問題巡る言葉の応酬で自制を促した
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

とうとう1人になった。2年近く前のトランプ政権発足以来、ホワイトハウスとのやり取りで予測不可能な大統領に対応する欧州やアジアなどの米同盟国にとって、大統領執務室に出入りする頼れる大人は何人もいたが、今度はケリー大統領首席補佐官が年末までに辞任する。そうした大人はマティス国防長官だけになるということだろうか。

マティス国防長官

写真家:Andrew Harrer / Bloomberg

  トランプ大統領は今年3月、ティラーソン国務長官(当時)が辞めるとツイート。事実上の更迭だった。大統領を支えるためゴールドマン・サックス・グループの社長から国家経済会議(NEC)委員長に転じたゲーリー・コーン氏も同月、辞任を発表。軍出身のH・R・マクマスター氏も大統領補佐官(国家安全保障担当)を辞め、今度はやはり軍出身のケリー氏もホワイトハウスを去る。

  ケリー氏同様に海兵隊大将だったマティス長官は「マッドドッグ」の異名を持つ。トランプ大統領が北大西洋条約機構(NATO)に対して冷淡な態度を示す中で、トランプ政権下で東欧の軍事力強化に向けた米国の財政支援を増やすことを控えめながらも確実にしているとして、NATO内でマティス長官は信認を得ている。

  同長官はまたアフガニスタンを巡っても米軍の完全撤退ではなく、兵力を増強するよう大統領を説得したほか、北朝鮮の核兵器計画を巡り米朝共に言葉による対立がエスカレートしているように見えた時期にも自制を促した。

  スウェーデン首相を務めたカール・ビルト氏はロシアによる攻撃に対する抑止力強化を狙った米予算増強に触れ、「ホワイトハウスではなく国防総省がけん引したのに疑いの余地はない」と指摘した。

Defending Europe

U.S. budget for European Deterrence Initiative soars under Trump, billions of USD

Source: Office of U.S. Under Secretary of Defense/European Parliament

  マティス長官がトランプ政権で生き残っているのはその目立たない在り方のためかもしれない。ホワイトハウスに近いところで仕事をしているわけでもなく、記者会見もあまり開かず、インタビューに応じることもまれだ。また、外遊を重ねる同長官は、トランプ大統領の不興を買うことなく米国の同盟国をさりげなく安心させるという技の持ち主でもある。

  世界中から国防担当相がシンガポールに集まり毎年開催される「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」の直近の会合で、マティス長官はトランプ政権を巡る避けられない質問を浴びせ掛けられた。「あなたはどうやって耐えているのですか?」との問いに対し、笑いが起きる中で、同長官は「率直に言いましょう」と述べ、「幾らかの異例のアプローチ」を米国が最近取っていると認め、その上で米国の価値観は変わっていないと請け合った。

原題:For U.S. Allies, ‘Mad Dog’ Mattis Is the Last Adult in the Room(抜粋)

(マティス長官の発言など2段落を最後に追加して更新します.)
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