経済へ下押し圧力あるとデフレに戻る可能性ー若田部日銀副総裁

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  • 再び経済への下押し圧力があるとデフレに戻ってしまうかもしれない
  • 物価への効果だけでなく市場・金融システムへの影響も間断なく点検
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の若田部昌澄副総裁は5日、新潟市内で講演と記者会見を行い、米中貿易摩擦の長期化などの影響で日本経済に下押し圧力が掛かった場合、デフレに逆戻りする危険性を指摘した上で、「必要があればちゅうちょなく追加緩和すべきだ」との考えを示した。

  若田部副総裁は会見で、「追加緩和の余地はないのではないかという議論があるが、やる必要があればその余地はある」と語った。追加緩和を行う判断については「物価がすう勢的に2%を達成する見通しがどの程度揺らぐかによってくる」と説明。金融機関の収益への影響など金融緩和の副作用については「効果を覆すほど顕現化していない」との見方を示した。

若田部日銀副総裁

Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  これに先立ち行った講演では、物価上昇率は「着実に改善している」としながらも、依然1%程度と2%との対比では道半ばにあり、「再び経済への下押し圧力があるとデフレに戻ってしまうかもしれない」と述べた。

  一方で、金融緩和を続けていく上で「物価に対する効果だけでなく、金融市場・金融システムへの影響も間断なく点検することが必要」であり、そのことが「政策の持続性を向上させ、結果として、2%の実現の蓋然(がいぜん)性を高めることになる」とも語った。

  5日の東京株式相場は通商問題や米景気の先行きに対する懸念から続落した。日銀は10月末、2018年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比見通し(政策委員の中央値)を1.1%上昇から0.9%上昇に下方修正した。原油価格の下落に加え携帯料金の値下げも今後見込まれるため、日銀は来年1月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)でさらなる下方修正を迫られる公算が大きい。

  若田部副総裁は米中間の通商摩擦について、「現時点では内外経済に対する影響は限定的とみている」としつつ、問題が長引けば貿易面での悪影響が徐々に広がるだけでなく、企業の投資マインドの悪化や金融市場におけるセンチメントの慎重化という経路を通じ、「世界経済への下押し圧力が強まっていく可能性がある」と述べた。

(会見での発言を追加し、見出しや第1段落などを差し替えて更新します.)
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