Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

トランプ大統領と習主席の休戦、米中間の溝はほとんど埋まらず

  • 知的財産権や市場アクセスの面で米中間になお大きな隔たり
  • 両首脳はひとまずクリスマスプレゼント、2月に懸念再燃か
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米国と中国は過去1年の大半にわたり、エスカレートする通商対立の中心的問題の解決に向け大きく前進できていなかった。それは今後90日でもあまり変わりそうにない。

 1日夜にアルゼンチンで開かれた米中首脳会談でトランプ米大統領と中国の習近平国家主席は「休戦」を申し出た。トランプ大統領は中国による米国製品の購入拡大と引き換えに、中国製品に対して予定していた関税率引き上げを3カ月間猶予することに同意した。株価下落や景気の先行きを巡る警鐘に直面していた両首脳は今回の合意で一息つく時間を持つことができる。

12月1日の夕食会に臨んだトランプ大統領と習近平国家主席

フォトグラファー:Saul Loeb / AFP via Getty Images

  緊張緩和は株式投資家にとって歓迎すべき安心材料だが、米中間の根本的な溝は依然として非常に大きい。技術移転の強要停止や知的財産権の保護、戦略的産業への国の補助終了など、中国に対する米国側の踏み込んだ構造改革要求を巡って交渉は長期にわたり難航してきた。中国はこうした要求全てが自国の国際的台頭を阻もうとする米国の戦略と受け止めている。

  ラボバンクのアジア金融市場調査責任者、マイケル・エブリー氏(香港在勤)は米中貿易戦争の休戦について、「これが実質的な何かを意味するはずはないと考える。どちらの側も戦争の準備は十分に整ってはいないが、どちらも態度を変えることはないだろう」と指摘した。

  それでも今回の合意は、通商面の緊張が地政学的緊張をさらにあおり新たな冷戦に陥るとの目先の懸念を緩和するのに資するだろう。ホワイトハウスは習主席が北朝鮮の非核化に向けた取り組みを引き続き推進することに同意したと強調。中国政府はトランプ大統領が台湾との関係について、「1つの中国」政策を尊重する方針だと説明した。

  1日の合意からはまた、双方が実利を重んじる姿勢も浮き彫りになった。習主席は中国製品2000億ドル(約22兆7000億円)への関税率が25%に引き上げられる前に少なくとも3カ月の時間を確保し、政策当局者による景気対策の検討を可能にした。

  一方でトランプ大統領は、中国に米国の農産物やエネルギー製品、工業製品の購入を拡大させつつ、構造問題で習主席にさらなる譲歩を迫るため関税引き上げという方策を引き続き利用できるポジションを確保した。中国は合成オピオイドのフェンタニルの取り締まりも言明した。また、クアルコムによるNXPセミコンダクターズ買収について両社がまだ関心を持つなら、習主席が承認にオープンな姿勢だとトランプ大統領は述べた。

  ニューヨークの中国専門調査会社JLウォーレン・キャピタルの創業者、李君蘅氏は「両首脳はまず、市場にサンタ・ラリーを楽しませたいのだろう。その後2月になって再びわれわれは心配し始める可能性がある」とコメントした。

  米中の意見対立を示すものがあるとすれば、両国が共同声明の発表に至らなかった事実だろう。双方が別々に発表した声明では、中国が90日間の時間枠に言及しなかった一方、米国は「1つの中国」政策に触れないなど、重要な相違も示された。

原題:Trump-Xi Truce Does Little to Bridge Vast U.S.-China Divide(抜粋)

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