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予測可能な金利の道筋離れた米金融当局、荒野に足を踏み入れる

  • 政策金利が中立を「わずかに下回る」状況で当局は転換点に
  • 中立金利の正確な推計欠く中、当局の政策運営も手探りに

これまでの予測可能な利上げの道筋を離れた米金融当局者は、混迷の度を深める経済データへの依存を一段と強める上で、厳然たる事実を投資家に伝えようとしている。それは、もはや安易な答えはないという現実だ。

  それは不安定で、もっとサプライズに富んだものとなるだろう。金融当局の戦略をたどろうとする人々には険しいものとなるかもしれない。金融当局自体が何をするのかこれまでよりも確信を持てなくなる中で、ウォール街の著名な経済予測担当者の多くが各自の予想見直しを迫られるだろう。

  マクロポリシー・パースペクティブスのシニアエコノミスト、ローラ・ロスナー氏は当局者について、「彼らは政策運営の柔軟化を図っており、それは伝達するのが難しい。当面の見通しに変化はないが、リスクは若干シフトしつつあり、将来的には政策の道筋に変更が必要になるかもしれないというメッセージだ」と指摘した。

Federal Reserve Board Holds Open Meeting

パウエル議長(右)とクラリダ副議長(ワシントンで)

写真家:Andrew Harrer / Bloomberg

  今週は連邦準備制度理事会(FRB)正副議長の講演と、連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7、8両日開催)の公表があり、四半期ごとの規則正しい利上げに終わりを告げるシグナルが発せられた。これから先は、当局者の次の一手に経済データが一層大きな影響を及ぼすことになる。

  クラリダ副議長とパウエル議長が27、28日にそれぞれ行った講演での発言によれば、その理由は政策金利が景気の加速も減速も招かない中立金利の推計レンジを「わずかに下回る」水準にあると考えられることにある。

  だが中立金利の問題は、金融当局者にも正確な推計がない点だ。政策金利が中立金利を上回れば、既にトランプ大統領が当局批判を繰り返しているタイミングで、リセッション(景気後退)を招くリスクがある。反対に中立金利を下回れば、物価圧力を高めたり資産バブルをあおりかねない。そして当局者は政治、経済両方のリスクを考慮して慎重になっており、先行きにはリスクが控えている。

  HSBCセキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、ケビン・ローガン氏は、米金融当局は中立金利の推計レンジに近づきつつあり、「彼らは転換点にある。一段と踏み込んだ政策判断が求められるだろう」との見方を示した。

  ソシエテ・ジェネラルの米国担当シニアエコノミスト、オメイア・シャリフ氏は「当局者が会合ごとにさらなる利上げが正当化されるかどうか議論を重ねる状況にわれわれは今、移行しつつある。彼らはどの水準が正しいのかを知らずにおり、データを注視するという点でわれわれと同じ境遇にある」と説明した。

The market is now pricing in much less tightening than before

原題:Fed Jumps Off Predictable Rate Path and Into a Policy Wilderness(抜粋)

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