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パウエルFRB議長、来年の利上げ回数予測引き下げの可能性に道開く

  • 12月FOMCで来年の利上げ回数予測が3回から2回に減る可能性
  • 現在の金利は中立レンジを「わずかに下回る」と議長は発言
パウエルFRB議長

パウエルFRB議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
パウエルFRB議長
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は28日、来年の利上げ回数見通しについて、連邦公開市場委員会(FOMC)参加者が下方修正する可能性に道を開いた。

  パウエル議長はエコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークで講演し、一連の米利上げにより金利は米経済成長を加速も減速もしない中立の推計レンジを「わずかに下回る」水準になったと述べた。また、米経済への利上げの影響について、まだ完全には顕在化していないと指摘した。

  パウエル議長の発言は、先月の発言に比べトーンを和らげたものと受け止められ、米株式相場を押し上げた。前日にはトランプ大統領が再び利上げを批判していた。

The Fed's Dot Plot

  9月に発表されたドット・プロット(金利予測分布図)の中央値を見ると、FOMC参加者は来年に0.25ポイントの利上げが3回行われると予想していた。ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は12月18、19両日に開催されるFOMCで示される最新予測では来年の利上げは2回とされる可能性があると指摘。「もはや中立水準まで利上げを断行するというわけではない」とし、「近づくにつれて進路のぶれも若干大きくなる」と述べた。

市場の反応

  トレーダーが利上げ回数見通しを後退させる中、S&P500種株価指数は2.3%高と、3月以来の大幅上昇となり、2年物米国債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。先物取引が織り込む来年の利上げ幅は25bpと、利上げ1回分に相当。外国為替市場では、ドル相場のピークに近づいている可能性があるとの見方をトレーダーが強める中、一次産品生産国と新興市場の通貨が上げをけん引した。

  大方が予想する12月の利上げによりフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは2.25-2.50%になり、9月にFRB理事と連銀総裁が推計を示した中立金利レンジ2.5-3.0%の下限に達する見込み。

  パウエル議長は米経済については堅調な伸びと低失業率、2%の当局目標近辺のインフレ率が続くとして楽観的な姿勢を保ち、「この見通しに関しては好ましい点が非常に多い」と話した。ただ、「政策に既定路線はない」として、情勢が予想を大きく外れて展開する可能性に注意を促した。

  パウエル議長は2週間前、来年の米経済成長を阻害しかねない要因として、海外の需要鈍化や米国内の財政刺激効果の減退、過去の利上げが効き始める可能性の3つを挙げていた。

エコノミストの見解

  来年の利上げ回数について、エコノミストの見解は分かれている。ゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースのエコノミストは4回と予測しているが、モルガン・スタンレーとシティグループは2回だ。ブルームバーグ・エコノミクスは3回とみている。

  アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は顧客に対し、パウエル議長の講演の「幾分ハト派色が強まったトーン」に市場は過剰反応していると指摘した。パンセオン・マクロエコノミクスのイアン・シェファードソン氏は、パウエル議長がFOMC参加者の金利予測の「差し迫った変更を示唆」しているとは思わないと記した。

  パウエル議長は10月3日に、米金融政策は恐らく「中立まで長い道のり」があるが、最終的には引き締め的になる必要があるかもしれないと述べ、投資家の間に不安が広がった。FRBウォッチャーの多くはこのコメントには特に目新しい点はないと見なしたが、多数の投資家は利上げサイクルの終了はかなり先になると示唆したものと受け止め、株価は下落した。

  ソシエテ・ジェネラルの米国担当エコノミスト、オメイア・シャリフ氏は28日の顧客向けリポートでパウエル議長の10月のコメントについて、「新人ならではの失敗」だと指摘した。

  元連邦準備制度エコノミストで、現在はコーナーストーン・マクロのパートナーを務めるロベルト・ペルリ氏は顧客に対し、「十分に吟味して草稿を準備したスピーチと、原稿なしのフリートークは大きな違いがある」と述べた上で、「金融当局は経済を意図的に減速させるところまで断固として引き締めを続けるという懸念が解消されたため、市場に安心を与えるメッセージ」となったと説明した。

原題:Powell Opens Door to Possible Pullback in Fed Rate-Hike Outlook(抜粋)

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