米経済は堅調な成長継続へ、金利は中立「わずかに下回る」-FRB議長

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  • かなりの隔たりがあるとした先月の発言からトーンを和らげる
  • 市場は発言を好感し米国債と主要株価指数が上昇、ドル指数は反落

パウエル議長

Photographer: Mark Kauzlarich/Bloomberg
Photographer: Mark Kauzlarich/Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は28日、現在の金利はいわゆる中立水準の推定レンジを「わずかに下回る」水準にあるとの見解を示し、かなりの隔たりがあると示唆した従来の発言からトーンを和らげた。この結果、利上げサイクルを来年停止する可能性に政策当局者らが一段とオープンになりつつあるとの観測が強まった。

  市場はこの発言を好感、米国債は上昇し、主要株価指数は3月以来の大幅な上げとなった。先月のパウエル議長のコメントは一段と積極的な金融引き締めのシグナルと市場に受け止められていたが、「わずかに下回る」という発言で和らげられた形となった。10月3日にパウエル議長は、「われわれは中立を超えるかもしれない。しかし現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」と述べていた。

  パウエル議長はこの日、エコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークで講演し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は「米経済成長を加速も減速もしない、経済にとって中立となる水準の幅広い推定レンジをわずかに下回っている」と発言した。

  これを受け、S&P500種株価指数は2.3%上昇で終了。終値としては2週間余りで最高となった。ダウ工業株30種平均は600ドル強上げた。米国債も上昇し、2年債利回りは一時2.79%と、パウエル議長講演前の2.84%から低下した。ブルームバーグのドル・スポット指数は一時の上昇から反落し、0.6%安を付けた。

  現在の金利が、政策当局者が最終的に中立金利と見なす水準により近いとすれば、利上げ回数は従来の予想より少なくなることを示唆すると考えられる。ユーロダラー先物の動向によれば、パウエル議長の発言後、来年の利上げが1回にとどまるとの見方が強まった。

  パウエル議長の経済と金融政策に関するコメントは、12月に関してはこれまでの予想通り、0.25ポイントの利上げを行うものと受け止められた。ただ来年については、何回の利上げが必要となりそうと議長が考えているのか、ほとんど手掛かりは得られなかった。議長は、その時々の経済指標に応じて動く必要があるとの従来の見解を繰り返した。

  議長は講演で、「漸進的な利上げが経済に及ぼす影響は不確実であり、完全に顕在化するまで1年以上かかる可能性があることを当局は認識している」と指摘。「連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の予測は、見通しに関するわれわれの最善の判断に基づいているが、政策に既定路線はない」と語った。   

  成長鈍化や対中通商対立を巡る不透明さを背景に、投資家はパウエル議長講演の前の時点で既に、当局の予想中央値である来年3回の利上げが実施されるかどうか懐疑的になっていた。

  議長は「常に述べているように、金融政策の決定は雇用とインフレの見通しの変化を考慮する形で経済を軌道に維持するよう設計されている」と説明した。

  来年の利上げ回数について、エコノミストの見解は分かれている。ゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースのエコノミストは4回と予測しているが、モルガン・スタンレーとシティグループは2回だ。ブルームバーグ・エコノミクスは3回とみている。

原題:Powell’s ‘Just Below’ Comment Seen as Suggesting Fewer Hikes (2)(抜粋)

(市場の反応などを追加して更新します.)
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