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台湾の都市「桃園」に熱視線-米中貿易戦争で大きな恩恵

  • 国際空港のある桃園-台湾で最も急速に人口が増えている
  • 事業モデルは過去20年から大きく変わるだろう-ペガトロンCFO

米中貿易戦争で大きな恩恵を受けているのが台湾北西部の都市、桃園だ。台北の西に位置し国際空港を擁するこの海辺の都市には約200万人が住む。

  低賃金を求める台湾企業が中国本土に生産拠点を移したことで長く低迷していた桃園だが、米中間の緊張がエスカレートする中で、テクノロジー大手各社が一部の生産を台湾に戻しつつある。トランプ米大統領は対中関税の強化を示唆しており、こうしたトレンドに拍車が掛かりつつある。

skyline of taoyuan

桃園

写真家:

  台湾桃園空港があり台北から車で1時間の桃園には、中国本土に代わる生産拠点の探す大手のエレクトロニクスメーカーが熱い視線を注いでいる。サプライチェーンの構図は台湾の大手企業が中国各地の生産拠点で製品を組み立て、「HP」や「デル」といったラベルを貼り出荷するというものだったが、その形が崩れる可能性もある。

Pegatron Corp. Announces 2Q Earnings

チャールズ・リンCFO

写真家:Ashley Pon / Bloomberg

  米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を組み立てている和碩聯合科技(ペガトロン)とラップトップパソコンメーカーの仁宝電脳(コンパル)は今、1980年代以降続いた枠組みから脱却する準備を進めている。やはりアップルのサプライヤーとなっている英業達(インベンテック)を含めたこれら台湾3社は桃園での事業を拡大。桃園に本社を置く広達電脳 (クアンタ)なども工場用地を探しており、桃園は現在、台湾で最も人口が急速に増えている都市となっている。

  ペガトロンのチャールズ・リン最高財務責任者(CFO)は11月8日に開いたアナリストへの決算説明会で、「われわれの事業モデルは過去20年から大きく変わるだろう」と明言。「将来的に生産はさまざまな国に広がり、中国にあるような巨大工場を他の場所で建設することはできなくなる」との見方を示した。

Renaissance of Gritty Taoyuan

Taiwanese companies are shifting production back home

Source: Bloomberg

  東南アジアなどに生産移転を検討している台湾企業もあるが、一方で本社に近い拠点が好まれている。クアンタのエルトン・ヤンCFOは13日、「今ある施設の能力増強が最も素早くできる対応だ。どこかで新たな土地を探し、そこに新しい施設を建設するようではあまりに遅いだろう」と記者団に語った。

relates to 台湾の都市「桃園」に熱視線-米中貿易戦争で大きな恩恵

インベンテック(左)とクアンタ(中央)、スーパー・マイクロ(右)が桃園に置く施設

出典:Inventec;写真家:Debby Wu / Bloomberg

  産業重視の姿勢を続けてきた桃園には多数の工業団地があり、昨年の工業生産額は1000億米ドル(約11兆3800億円)近いと推計されている。台湾積体電路製造(TSMC)の本社がある新竹をも上回る。

Alternative Destinations

Taiwanese foreign direct investment ($1,000)

Source: Taiwan Ministry of Economic Affairs

  台湾の月額最低賃金は約2万2000台湾ドル (約8万1000円)。上海の労働者が期待できる2410元(約3万9400円)の倍以上だ。それでも桃園への関心は台湾企業以外にも広がる。米カリフォルニア州サンノゼに本社を置くスーパー・マイクロ・コンピューターは桃園でのサーバー生産能力を増強し、新たな生産施設を建設する別の計画も進める。同社の桃園への投資額は90億台湾ドルに膨らむと同市当局者は説明する。

  台湾の不動産会社、信義によると、今年1-9月の工業用地・工場に関する取引で台湾の全都市のうち1位となったのが桃園。信義のマネジャー、マイケル・ワン氏は「台北より物価が安く、さまざまなタイプの工業団地がある桃園は、新竹より企業にとって事業拠点を設けやすい」と話した。

原題:Trump’s Escalating Trade War Brings Renaissance to One City (1)(抜粋)

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