ゴーン長期政権、チェックできないなら「企業統治上問題」と金融庁長官

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  • ガバナンスコード、「機能していなければ絵に描いた餅」と点検も
  • 内部通報制度は「ガバナンス確保の重要な手段」と評価

日産自動車のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された事件について、金融庁の遠藤俊英長官はゴーン容疑者が長期間経営トップを務めた結果、経営陣が「きちっとチェックできなくなったという事態がもしあるなら企業統治上問題がある」との考えを示した。

カルロス・ゴーン容疑者

Photographer: Junko Kimura-Matsumoto/Bloomberg

  遠藤長官は20日のブルームバーグとのインタビューで、企業統治の指針であるコーポレートガバナンスコードが求める独立社外取締役のような「形を整備しても機能していなければ絵に描いた餅だ」と断言。フォローアップ会議などで、コードに則って形を整備した上場企業の統治が実質的に機能しているのかどうか、点検する可能性に言及した。

  金融庁は株式市場における企業価値向上の観点から企業統治の浸透に注力。東証とともにその指針となる同コードの策定を主導しているが、東芝の不正会計問題やスルガ銀行の不正融資問題などスキャンダルが後を絶たない。

  日産自の西川広人社長は19日の記者会見で、ゴーン容疑者について「長年実力者として君臨してきた弊害が大きい」とし、「ゴーン統治の負の側面」と批判。役員報酬の過少記載や会社資金の流用などの問題に関して「権力が集中して問題が起きても検知できない弱点があった」として、ワンマン体制の中で生じたとの認識を示していた。

  一方、今回の事件は内部告発が端緒となっており、遠藤長官は「内部通報がガバナンスを確保するための重要な手段、契機となりうることを改めて確認できた。経営に対する一つのけん制になる」と評価した。内部通報に関しては、同コードの中でも上場企業に対し「従業員などが不利益を被る危険を懸念することがないよう、内部通報の適切な体制整備を行うべきだ」と求めている。

高額報酬

  日本の上場企業は、報酬が1億円以上の役員の氏名や金額を個別に開示する義務がある。10年の内閣府令改正で金融庁が制度を導入した。東京地検の発表によると、ゴーン容疑者らは府令改正後間もない2011年3月期から15年3月期までに、報酬合計約99億9800万円を約49億8700万円と虚偽記載した有報を提出していた。

  同容疑者が役員報酬を過少記載したのは高額報酬批判を避けるためとの見方について、遠藤長官は、仮にそれが事実であれば「どれだけ日産の立て直しに対して貢献してきたのかということをきちっと説明すべきであって、そういった議論、批判を避けるために金額を開示しないというのは適切な対応とは思えない」と述べた。

  ブルームバーグがまとめたデータによると、グローバルな自動車メーカー経営者の中では、同容疑者の報酬は特別高額な訳ではない。米独立系運用会社Tロウ・プライスのアーシバルド・シガネール日本株式運用部長は、「日本の経営者に対する報酬が少なすぎるのは間違いない。グローバルな投資家は、透明性がありパフォーマンスとの相関性をきちんと説明できさえすれば、企業価値を上げてくれる人にお金を払うことに違和感はない」と述べた。 

(第6-8段落を追加しました.)
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