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ドイツ銀への忠誠薄れる「ミッテルシュタント」-長老でさえ突き放す

  • ゴールドマンなど外国勢がドイツの中小企業向け市場に食い込む動き
  • ドイツのローン市場におけるドイツ銀のシェア低下

設立150年という節目に近づきつつあるドイツ銀行だが、今直面しているのは不都合な真実だ。ドイツ最大の銀行であっても、国内経済の屋台骨、つまりドイツ語で「ミッテルシュタント」と呼ばれる中小企業にとって、なくてはならない存在ではもはやないということだ。

  大企業や専門的なエンジニアリング会社など「ドイツ株式会社」のドイツ銀に対する忠誠心はかつて強固だった。だがウォール街の投資銀行を模倣するとの野心に端を発した危機が数年続き、そうした忠誠心は薄れつつあることが多くの企業幹部への取材で分かった。

  自動車や建設などさまざまな分野で事業を展開するウルトグループを築き上げた富豪ラインホルト・ウルト氏(83)は半世紀余りにわたりドイツ銀と共に事業をしてきた。「かつてとても誇りに思い、信頼していたこの金融機関の凋落(ちょうらく)を、本当に残念に感じている」と打ち明けた同氏だが、「欧州連合(EU)内ではあらゆる種類の銀行業サービスを利用することが可能」で、ドイツ銀との関係が弱まっても「われわれのビジネスに影響することはほとんどない」と明言した。

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ラインホルト・ウルト氏

フォトグラファー:ODD ANDERSEN / AFP

  ミッテルシュタントの長老とも言うべきウルト氏でさえ、こうしてドイツ銀を突き放す。産業界に同様の動きが広がれば、たとえ国際的なネットワークを持つ強い銀行が国内にあってほしいと財界首脳が望んでいても、ドイツの輸出産業を支えるという同行の原点回帰を目指すクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)の計画は、その達成が危ぶまれる。

  すでに、ドイツ銀の長年のライバルであるコメルツ銀行との統合を通じてドイツ国内にもっと強い銀行を誕生させるという構想は、一部の政策当局者からの支持を得つつある。 

Fading Force

Germany's biggest bank has lost share to rivals in the country's loan market

Source: German borrower loan data compiled by Bloomberg

  ドイツ銀の国内商業顧客担当責任者シュテファン・ベンデル氏はインタビューで、「ドイツにおいてミッテルシュタントの顧客獲得競争は一段と厳しくなっている」と述べた上で、それが国内外でそうした中小企業へのサービス改善に向け「われわれが投資している理由」だと説明した。

  以前と比べミッテルシュタントは資金調達で幅広い選択肢を持つようになっており、外国銀行もこの市場に食い込みつつある。フランスのBNPパリバとオランダのINGグループ、それに米ゴールドマン・サックス・グループは最近、ドイツの「隠れたチャンピオン」との関係を深める意向を表明した。

  一方でドイツの融資市場におけるドイツ銀のシェアは低下。国内ローン市場でのシェア争いで2015年時点では首位を保っていたが、今年はこれまでのところ5位にまで順位を落としている。

Christian Sewing

ドイツ銀のゼービングCEO

写真家:Alex Kraus / Bloomberg

原題:Deutsche Bank’s Inconvenient Truth About Its Germany Inc. Ties(抜粋)

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