日産2年ぶり安値、ゴーン会長逮捕は「信用への影響甚大」と市場

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  • 仏ルノー、三菱自との3社連合に与える影響は不可避との見方も
  • 菅官房長官からは日産とルノーの関係をサポートいただけると日産幹部

カルロス・ゴーン容疑者

Photographer: Christophe Morin/Bloomberg
Photographer: Christophe Morin/Bloomberg

日産自動車の株式に取引開始から大量の売り注文が殺到した。会長のカルロス・ゴーン容疑者ら同社首脳2人が逮捕されるという異例の事態を受け、株式市場にも衝撃が広がった。

日産本社(横浜市)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  株価は一時、前日比6.5%安の940円まで売られ、2016年7月以来の日中安値となった。午前の出来高は9248万株と前日の約13倍に膨らんだ。資本提携を結ぶ三菱自動車の株価も同7.8%の673円まで売られた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは19日付のリポートで「日産自動車の信用に与える影響は甚大」と指摘。当面は経営に与えた損害の全容解明、有価証券報告書の修正内容、近々発足するであろう新経営陣の発言などに注目したいとの見方を示した。

3社アライアンスへの影響不可避

  ゴーン容疑者は日産自の会長のほか、仏ルノーと三菱自動車のそれぞれの会長も兼務し、3社連合(アライアンス)の会長兼最高経営責任者(CEO)を務める。

  野村証券の桾本将隆リサーチアナリストは同日付のリポートで、今回の逮捕を受けてアライアンスの先行きに対して「不透明要因が生まれたとは言えよう」と分析。JPモルガン証券の岸本章アナリストもリポートで「ゴーン会長が現在3社アライアンスを実質的に統括してきた事実を考えれば、今回の一件が3社アライアンスの今後に少なからず影響を与える可能性がある」とした。

  ゴーン容疑者の逮捕を受けて19日夜、横浜市内の本社で記者会見した西川広人社長は「アライアンスに影響を与える性格の事案ではない」と説明。ルノー、三菱自の両社と緊密に連携してアライアンスの活動に影響が出ないよう努力すると述べた。

閣僚も相次ぎコメント

  東京地検の発表によると、ゴーン容疑者は同じく逮捕されたグレッグ・ケリー容疑者と共謀し、11年3月期から15年3月期までのゴーン容疑者の報酬が合計で約99億9800万円であったにもかかわらず、約50億円少ない計49億8700万円と虚偽の記載をした有価証券報告書を提出した。

  閣僚からはゴーン容疑者逮捕に関するコメントも相次いだ。菅義偉官房長官は20日の閣議後会見で「このような事態に至ったことは誠に遺憾。詳細については東京地検特捜部が事情聴取中であるために現段階でコメントは差し控える」と述べた。経済への影響については「政府としては事態を注視したい」とも語った。

  石井啓一国交相は「著名な経営者であるゴーン氏逮捕の報道に大変驚いた」との感想を述べた。事件そのものは調査中のためコメントは控えるとし、日産の経営への影響については「現時点ではよく分からない」と語った。世耕弘成経産相は3社アライアンスについては関係者同士での話し合いを期待するとして「安定的な関係を維持することが必要」と述べた。

  司法取引を行ったとの一部報道に対して、山下貴司法相は「現在捜査中であり法務大臣として所感を述べることは控える」と述べるにとどまった。

  日産の川口均専務執行役員は同日午前、首相官邸で菅官房長官と面会し、19日の記者会見の内容について報告した。その後、記者団に対して「日産や、日産とルノーのアライアンスの関係で今後いろいろみていただいてサポートしていただけるとお聞きした」と述べた。

  日産は22日の取締役会で、ゴーン容疑者の会長と代表取締役に加え、ケリー容疑者の代表取締役の解職を提案する。三菱自の広報担当者によると、同社も来週中にゴーン容疑者の代表取締役会長からの解職を提案する臨時取締役会を開催する予定。 

(日産幹部のコメントなどを追加します.)
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